自らブラック企業

　
　相変わらず、針の名人は意気軒昂であった。とても天涯孤独とは思えん。

　結婚難民になっていることが全くシャレになっていないわしは、針の名人の境地に遠く及ばねぇ。ちなみに、針の名人は60代だ。

　結婚難民か…。わしが超重度のマザコンであったことで、何回かチャンスを逃したことは事実である。

　それにしても、針の名人の話には驚いた。365日、休みなしだと？　早い時は午前６時に診察し、遅い時は午後11時からでも診るだと？　

　それって、自らブラック企業じゃねぇか。そちらも及ぶ境地じゃねぇ。

　針の名人の所に寄った帰りは、いつも‘かめや’で天玉うどんを食う。が、今、食欲が全くない。

　おとといの夜から、毎食、パン１個しか食べていない。それも、流し込むようにして、やっと口に入れている。

　一時、体重が61kgまで落ちたが、８月の終わりには65kgになっていた。「このままでは、また70kgを超えそうだ」と思っていた矢先だから、ちょうどいいか。これ以上だらしなく胃袋を広げたら、金竜飛に笑われる。

　この食欲不振時が高校野球の時期と重ならなくて良かったぜ。ただでさえ、番狂わせの連続で吐いていたからな。

　しかし、安樂も、なぜ、Ｕ18でのピッチングが甲子園でできなかったのか？　って、それを言っちゃあお終いよ。

　こうなったらキムラに変身してやるぞ、この野郎。