「白い巨搭」リメイク版


 ただいま、午後3時。近くのセブン・イレブンで、ゲンダイとヘルシアというお茶を買って帰ってきた。

 このところ毎日のように3時頃になるとデタラメな恰好でセブン・イレブンにゲンダイを買いに行っているので、売り子にやばい奴と思われておることだろう。

※最近、セブン・イレブンを「セブン」と略していうことを知った。しかし、それは、ウルトラセブンに対する冒涜というものだ。  

 今日は、録画してあるこの夏の高校野球のビデオを整理した。
いうまでもないが、広陵−岩国のビデオはすでに葬ってある。  

 ビデオを整理していたら、「白い巨搭」のビデオが出てきた。「白い巨搭」は、国立大学医学部の暗部を描いた不朽の名作である。

 原作も素晴らしかったが、それ以上なのがテレビ版(1978年放映)といえよう。テレビ版はこれ以上ないという豪華キャストによるもので、わしはこの作品をテレビドラマ史上bPの名作だと思っている。

 その大傑作をこの秋フジテレビがリメイクすると後輩から聞いたので、そのキャストについても聞いてみた。予想はしていたが、そのキャストが前回とこれほど落差があるとは…。
その落差はナイヤガラの滝以上だ。  

 ここで、個々のキャストを比較検討してみたい。

・唐沢寿明…財前 五郎(浪速大学第一外科助教授)
 前作…田宮二郎


 いきなり狂った。
 いいかげんにせんと、田宮二郎が化けて出て来るぞ。
 しかし、主人公からしてこれだけの格の違い。
 唐沢を田宮二郎と比較する方が間違っていると思うけどね。
 田宮二郎はもはや伝説。田宮以外に財前五郎は考えられない。


・江口洋介…里見 脩二(同第一内科助教授)  
 前作…山本学
 

 おい〜、まじかよ〜。  
 ある意味、里見の江口洋介が一番吐いた。
 
 前作の山本学は、謹厳実直の里見助教授を見事に演じ切っただけに…。  
 これは、江口に問題があるのではなく、キャスティングした方に問題がある。  
 だいたい、財前も里見も40代半ばの設定なのだから、唐沢も江口も若すぎる。


・黒木 瞳…花森 ケイ子(クラブ・アラジンのママ)
 前作…太地喜和子


 黒木瞳は愛人の感じがしない。愛人にしては清楚過ぎる。
 それに、太地喜和子とは演技力が比較にならない。
 太地喜和子もすごいいい味を出していただけに、その落差が…。


・矢田亜希子…東 佐枝子(東教授の娘)
 前作…島田陽子


 矢田亜希子が深窓のお嬢さん? ピンとこねぇなぁ。
 島田陽子は実物はヤバいようだけど、お嬢さんのイメージにぴったりであった。


・水野真紀…里見 三知代(里見の妻)
 前作…上村香子


 一瞬水野美紀に読めたので吐きかけたが、これはas・asといったところか。
 ただ、江口洋介と水野真紀が夫婦ってのには違和感がある。

※そういや、とっつぁんは、前作の女性陣の中では上村香子が一番のお気に入りであり、「わしゃ、上村香子が家で待っていたら毎日午後から有給で飛んで帰る」と言っていた。



・上川隆也…関口 仁(原告側弁護士)
 前作…児玉 清


 上川隆也には悪いけど、どうしても見劣りしてしまう。迫力が違う。
 児玉清の「弱い者の味方」ぶりには感動を覚えたもんであった。

※知り合いの弁護士の先生が、「昔は社会正義に燃えて弁護士を志す者が多かったが、今はお金や社会的ステータスを目的にするのが多過ぎる」と嘆いておられたが、その通りだと思う。その弁護士の先生はまさに弱い者の味方で、わしは心から尊敬している。


・沢村一樹…菊川昇(心臓外科医)  
 前作…米倉斉加年


 だから、もう胃の中、何にも残ってねぇっての。
 キャスティングした奴は原作を読んだのか?

 菊川教授は40代半ばだぞ。
 それに、研究一筋の学究を沢村一樹が演じれるとは思えん。
 
米倉斉加年も最高のはまり役の1人だっただけに、この落差も筆舌に尽くしがたい。


・及川光博…河野正徳(財前側弁護士)  
 前作…北村和夫
 

 及川光博? 知らずの竜。  
 よって比較はできないけど、北村和夫の大物弁護士ぶりも堂に入っていたからなぁ。


・片岡孝太郎…佃友博(第一外科医局長)  
 前作…河原崎長一郎
 

 やばい。片岡孝太郎も知らん。松たか子の兄貴か?  
 どっちみち、河原崎長一郎以上の味が出せるとは思えん。


・伊武雅刀…鵜飼医学部長(第一内科教授)
 前作…小沢栄太郎


 伊武雅刀じゃ、あの陰険な鵜飼教授は似合わんて。
 小沢栄太郎のような陰険な人物を演じ切れる俳優が今はもういないのだろう。


・かたせ梨乃…佐々木よし江(死亡した患者の妻、裁判の原告)
 前作…中村玉緒


 これもひどいぞ。
 夫を誤診で亡くしてしまった傷心のおかみがかたせ梨乃だと?
 違和感あり過ぎるよ〜。

 その点、中村玉緒はうってつけの役回りで、視聴者の涙を誘ったもんである。


・伊藤英明…柳原弘(第一外科医局員)
 前作…高橋長英


 柳原の高橋長英こそ、前作のMVPといえよう。
 これは、弟ともとっつぁんとも意見が一致した。
 良心の呵責と出世とのはざまで悩み抜く、一介の平凡な医局員・柳原。このようなキャラクターを二枚目がやってはいけない。
 だいたい、里見の江口洋介といい、菊川の沢村一樹といい、二枚目合戦をやって、どうするんだ。二枚目ばかりじゃ、ドラマにならんだろうが。
 キャスティングした奴に猛省を促したい。



・石坂浩二…東貞蔵(第一外科教授)
 前作…中村伸郎


 とどめを刺された。
 ここまでくると、もう何の感慨もない。

 しかし、枯れたいかにも学者って感じの東教授が石坂浩二だと? いい加減にしろ。
 その点、中村伸郎はピッタリだった。


・西田敏行…財前又一(財前マタニティクリニック院長、財前の舅)  
 前作…曾我廼家明蝶  


 曾我廼家明蝶の演技が素晴らし過ぎただけに、西田敏行もきつい。  
 曾我廼家明蝶が絶品であったことは、愚痴を言う後輩も認めていた。  

 ところで、大河内教授(加藤嘉)、金井助教授(清水章吾)、同窓会の大幹部・岩田重吉(金子信雄)、船尾教授(佐分利信)、里見の兄貴(岡田英次)は、誰がやるのか? まさか誰も登場しないとか。

 奈良の大仏のような堅物であり、重要な役どころを占める大河内教授が出て来ないのは考えられないのであるが。
 
 こうしてみると、今、いかに俳優、女優の粒が小さくなったかがわかる。とにかく、演技派の性格俳優がほとんどいない。

 それは、演技もできないアイドルやモデルを安易にドラマで起用し、劇団で地道に努力している連中に日の目が当たらないからだと思う。  

 それにしても、「白い巨搭」の大ファンとしては、やりきれない思いである。
 
 原作の山崎豊子氏は今回のリメイク版について無難なコメントを寄せていたが、内心では吐き倒れているのであろう。  

 
わしと同じくらい熱烈な「白い巨搭」のファンである弟に昨日電話してリメイク版のキャストを教えたら、弟も吐いて吐いて吐きまくっていた。

 また、とっつぁんにもリメイク版のキャストを言ったが、とっつぁんは、唐沢や江口はおろか、黒木瞳もかたせ梨乃も知らず、吐かせることに失敗してしまった。ただ、石坂浩二の東教授には悶絶していたが。

 いちおうリメイク版も見るつもりでいるが、果たして、何回まで持つことやら。第1話で卓をひっくり返す予感がしてならない。

 最後に、もし前回の「白い巨搭」を見ていない奴がいたら、DVDとかで発売されているので、是非とも見てほしいと思う。



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