わしは流されん

　
　昼過ぎ信玄亭に行くべく駅前を歩いていたら、長蛇の列が目に入った。「いったい何の列だろう」と思ったら、吉野家の牛丼との別れを惜しむ人達の列であった。ったく、蛍の光じゃねぇぞ。

　とくに人が鈴なりだったのは、テイクアウト用の窓口前であった。門前市をなすとは、まさにこのこと。

　しかし、それだけ注文が引きも切らないと、店員もおちおちクソにも行けんかったろう

　それにしても、日本人というのはつくづく流されやすい民族だと思う。しかし、わしは簡単には流されんぞ。今日もその列を横目に信玄亭へまっしぐらであった。

　もし牛肉に続いて鶏肉もアウトということになったら、吉野家はもちろん、ファーストフード店もお陀仏だろう。ま、ファーストフード店のハンバーガー類がほとんど食えんわしには関係ないがな。

　なぜ、わしがファーストフード店のハンバーガー類がダメなのか？　そんなもん、下手人はタルタルソースに決まっとる。

　しかしなんだって、イチイチバーガー類にタルタルソースが入っているんだ？　さすがに、「タルタルソース抜きで」とは注文できん。

　ところで、豚肉は大丈夫なのだろうか？　もし、「豚肉よ、お前もか」ってことになったら、肉食獣のわしはどうにもならん。今更草食獣になどになれん。

　さて、吉野家亡き後をどうするかが問題である。新たに、ローテーションに入れる飯屋を探さんと…。まさか信玄亭を週３にするわけにもいかんし。

　この辺はまさにチョンガーの悲哀である。果たして、愛妻弁当を食べれる日がわしに来るのであろうか？

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