奴にだけは


 それにしても、昨日のボクシングは消化不良だった。特に戸高の試合はひどかった。あれでよく世界チャンピオンになれたもんだ。世界チャンピオン乱造時代の賜物以外のなにものでもないだろう。

 それにしても、メキシコのボクシング界の層は厚い。あれほどのスピードを持ったボクサーが世界10位なのだから。ま、戸高ではどの世界ランカーとやっても負けるだろうけど。

※戸高からタイトルを奪取したメキシカンの名前はサラテであった。サラテといえば、ボクシングファンの誰もが、70年代後半に活躍したカルロス・サラテを思い出すだろう。なにせ、デビュー以来、54連勝で52KOなのだから。それもバンタム級で。さらに、サラテがボクサータイプというのが凄い。減量苦さえなければ、もっと活躍していただろう。


 
今日は午後からばあさんを見舞いに行っていたのだが、病室に入ってちょっとして、胸ポケットの携帯が震えた。「しまった。病院ではオフにしとかんと…」と思ったが、いちおう誰からか見てみようかと思った。もしかしたら急な麻雀の呼び出しかもしれんし。

 
んなわけねぇわなぁ。アホ後輩からであった。

 病院にいなくとも、そんなもん無視だ。で、家に帰って留守録を聞いたら、「携帯に電話してくれ」と入っていた。野郎は、日曜は外出禁止令を食らっていたはずだが…。

 日記のネタになるかもしれんと思ってかけたが、やっぱしょうもない用件で吐き倒れた。


野郎:実はさ、昨日、狂人から電話があってさ。

わし:狂人? ああ、あれか。

野郎:しばらく××君(アホ後輩のこと)から電話がなかったから、掛けてみたって言うんだよ。

わし:だから出るなって言ったろ。

野郎:だって出ないと、会社とかに掛けてきそうだし。

わし:会社の番号教えてんじゃねぇよ。

野郎:それでさ、おととい、会社に引越し先の地図をFAXしてきてさ。

わし:それ、社員に見られたのかよ?

野郎:なんとか誤魔化したけど、そういうことされんの、困るんだよね。

わし:そんなもん、俺に言ってどうするんだよ。

野郎:地図見たらさ、キムラさんとこまでタクシーでワンメーターのところだったよ。

わし:なぬ? お前、俺んち、絶対に教えんなよ。

野郎:わかってますって。そういや、キムラさん、池袋でご執心だった子、どうなったの?

この後の会話は門外不出ということで…。

野郎:俺らって、才能あるんじゃない?

わし:そんなもん、地獄の才能だよ。眉村卓じゃねぇぞ。

野郎ま、お互い、君子危うきに近寄らずだね。

わし
お前にだけは言われたかねぇ。


 今日も今日とて、不毛な会話だったわ。まあ、お互い幸せなのかもしれん。


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