行かねぇよ



 




 

 今日もオヤジとの約束を守って、信玄亭にチャーハンとギョーザを食いに行った。1時過ぎだったこともあり、客は山ちゃんだけ。

 山ちゃんは、日本酒でもうすっかり出来あがっており、珍しくわしに話しかけてきた。山ちゃんがわしに声をかけてきたのは初めてだろう。

 「いやあ、お兄さん、左目の上にたんこぶができちゃってさ。たいへんなんだよ」と切り出したので、山ちゃんの顔を見たら、えらいでかいたんこぶがあった。おやじ狩りにでもあったのではないかと思いつつ、「どうしたんですか」と聞いたら、「いやあ、ちょっとぶつけちゃってね」という答え。

 そしたらオヤジが、「山ちゃんは花咲かじいさんになるんだよ」と、つまらんことを言ってきた。それに対して、山ちゃんがわけのわからないことを返し、「ねぇ、そうだよね、お兄さん」と、わしに振ってきた。
「うわぁ、これはグドン・ツインテールに挟撃されたウルトラマン状態になるぞ」と吐いていたら、胸ポケットの携帯が震えた。

 「おお、グッドタイミング」と思って出てみると、アホ後輩からであった。


わし:今、メシ食ってんだよ。

野郎:すぐ用件終わるからさ。今日、夕飯いっしょに食べない?

わし:今日は残業になりそうだし(もちろん、シャミだ)、疲れているからまた今度な。

野郎:じゃあ、今度は来てよ。

 ここで電話を切ったが、
誰が行くかい。もう例の話は聞きたくないわ。


日記トップへ