添乗員からのTEL
昼休みに外を歩いていたら、胸ポケットの携帯が震えた。
ディスプレーを見たら011なんたらと示されていたので、北海道の旅行会社からだとわかった。そして、相手は現地の添乗員であった。
にしても、携帯の声は雑踏の中では聞こえにくいな。ただでさえ耳が遠いし、相手の言っていることが半分しか聞き取れなった。
掛け直してもらうのも悪いので適当に聞いていたが、だいぶ重要なことを聞き漏らしたくせぇ。
釧路空港に着いたら、なんたらという字が書かれているのぼりを持っているから声を掛けてくれだと? ま、向こうに行けばわかるだろう。
それと、添乗員の名前がよくわからなかった。少なくともありきたりの名前でなかったような…。それも、あっちに着いたら判明するはず。
それより何より問題は、「何か要望とかありますか?」と言われたのに、「いえ、特にないです」と言ったことである。
なんで、「2日目の海鮮丼のご飯を酢抜きにしてくれ」って言わなかったんだ。絶好の機会だったのに、何をやってんだ。
人ごみの中でそういうことを言うのが恥ずかしいと思ったからだ。そんなもん、誰もわしの電話の内容など気にしていないって。
まあいい。1日目のツアーが終わったところで言えば問題はなかろう。
そういや、北海道東部は最高気温が10℃ないって言っていたな。こりゃぁ、チャウセスク・コートを持っていた方が無難だな。旅行に行って風邪ひいて来たんじゃ、何が何やらわからない。
明日は6時起きか。今日は11時に寝るか。
もしあまり寝られなかったら、飛行機の中で寝るだけよ。頼むから、飛行機よ、揺れんでくれ〜。
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