黒部旅行、2日目
7時半出発ということだったので、6時半に食堂に行った。洋食でないことを願った。洋食だと、サラダというわしにとって大鬼門の料理が出るのでな。
そしたら和食であった。野沢菜など好きでないおかずも食べたが、今回もノーヒッターを逃した。きゅうりのきゅうちゃんにやられたのである。
宿を出たバスは、ひたすら黒部ダムを目指して走った。そして、途中でトローリーバスに乗り換えた。トローリーバスとは、電気で走るバスで、全国でもここ黒部にしかないバスだそうだ。
トローリーバスを降りて、少し階段を上り、トンネルを出ると、黒部湖と黒四ダムからの大放水が眼下に広がった。そして、黒部湖とダムの間に設けられた堰堤がはるか下に見えた。
第一展望台から撮影した黒部湖
はるか下方に堰堤が見える…
これらを見て、NHKのプロジェクトXを思い出した。実際、黒四ダム建設の苦労は、想像を絶するものであったろう。
ここで、以下に4つのプロジェクトXを考えた。
@号泣組翁の結婚願望を叶える計画
Aとっつぁんを仕事熱心にする計画
BXを競馬に強くする計画
Cわしの精神年齢を大人にする計画
どれも難航は必至だ。ま、こんなプロジェクトに参画する奴はいないだろう。
写真などを撮って過ごして、集合時間の9時50分にトンネルの出口に戻った。ところが、我々の団体が誰もいねぇ。そして、添乗員の姉ちゃんの姿もなかった。
もしかして、集合場所を間違えたか? 確か、添乗員の姉ちゃんは、「9時50分にトンネル前に集合」と言っていたのだが。
そこで、売店のおっさんに、「トンネルは他にありますか?」と聞いてみた。そしたら、50m以上は下に見えている堰堤の先に見えているトンネルが正しい集合場所くせぇことがわかった。そういや、堰堤を観光客が歩く写真がパンフレットに載っていたぁな。
当然、エレベーターで堰堤に行くものと思った。ところが、階段しかねぇ。しかも、非常階段のように狭く、目も眩むようなところを下らねばならないものであった。
そこで、わしの足が止まった。名うての高所恐怖症のわしに、その階段を降りて堰堤まで行くのは不可能。
が、そこを行かないと行程からはずれてしまう。しかも、集合時間はとっくに過ぎている。
こうなったら、決死の覚悟だ。少しでも恐怖を味合わないように、外側の風景を見ないようにし、早足で下ることにした。
火事場のバカ力か、なんとか堰堤にたどり着いた。しかし、もしこの階段降りがコースに入っていることを知っていたら、立山・黒部旅行を申し込むことは絶対になかったであろう。
堰堤までエスカレーターを造らなかったことで、黒部ダムのプロジェクトXは画竜点睛を欠くものであったことがわかった。
それから、堰堤の終点にあるトンネルまで急いだ。集合時間から30分遅れたが、添乗員の姉ちゃんは我々を待っているものと思った。
が、いねぇ。そして、その間、わしの携帯に姉ちゃんからの連絡もなかった。
そのトンネルはケーブルカーの発着駅になっているが、姉ちゃんはわしらを見捨てて、ケーブルカーに乗ってしまったのか?
そこの駅員に事情を話したら、わしらの団体は今から2本前のケーブルカーに乗って行ってしまったという。
おい、まじかよ。
集合場所を間違えたのは、確かにわしである。でも、点呼で我々がいなかったら、我々が来るまで待っているか、わしの携帯に連絡を入れるのが添乗員の義務ではないか?
ここで助かったのは駅員の人達が親切で、ケーブルカーに乗せてくれたことであった。もし駅員の人達が号泣組翁のように融通が利かない奴だったと思うとゾッとするわ。
ケーブルカーの終点に着いたら、我々の団体が駅舎で時間を過ごしていた。わしらを見るや否や、姉ちゃんが駆けつけてきた。
まず先にわしが、「すいません、集合場所を間違えてしまって…」と、姉ちゃんに謝った。そしたら、姉ちゃんはバケモノのように恐縮し、何度も我々に頭を下げた。
今回のケースは、確認を怠り、緊急連絡も入れずに、わしらを見捨てた姉ちゃんにかなりの非があるのではないか? 実際、集合場所の案内も悪かったし。
とはいえ、集合場所を間違えたのはわしらだけだったから、わしがシャワシャワだったのは疑いようがないが。
姉ちゃんにとって幸運だったのは、わしが釈迦とイエスと孔子を合わせたような人物であることである。下手したら、面罵されているぜ。
ケーブルカーの駅から立山連峰を見ていたら、姉ちゃんが「お詫びの印です」と、アクエリアスの缶を持ってきた。
気持ちは嬉しいがよ、アクエリアスとはせこいな。もっと値の張るりんごジュースとかにせんかい。←どこが、釈迦とイエスと孔子を合わせたような人物なんだよ。
それからは順調にコースを進んだ。ただ、残念だったのは、ロープウェイの山頂駅にいたら途中で雨が降ってきたことである。江川ですら雨に勝てなかったものを、わしが雨に勝てるかい。
ロープウェーから写した立山の山肌
ロープウェーの終点から見た黒部湖
雨雲がハガい
冬は積雪16mだとか
ロープウェイの山頂駅からは、高原バスに乗ることになっていた。その高原バスは雪の壁の中を縫って走行するものと思っていた。山頂には万年雪もあったしな。
それを添乗員の姉ちゃんに確認したら、「そうです」というので楽しみが増したが、それを聞いていた他の会社の添乗員が、「今は雪は解けて、雪の壁はないです」と言ってきた。
う〜む。我々の団体の添乗員はまだ新人のようだな。
それから特にトラブルなどは起こらなかった。が、松代パーキングエリアで、同じ団体のおばさんに異なことを聞かれた。
「ミラクル3って、なんの意味なんですか?」だと? そう、わしは2日目はミラクル3シャツを着て行動していたのだ。
わしはそのおばさんに、「アニメのキャラの名前ですよ」と答えたが、どうもわしは狂人と思われていたくせぇ。
ハガいことがあった旅行であった。でも、黒部峡谷や立山連峰は素晴らしい眺めだったし、いろいろな乗り物も楽しかった。
偏食、乗り物に弱い、高所恐怖症と、旅行には向かないわしだが、秋にまたどこかに行きたいと思う。
まだ頭が高校野球モードに切り替わらないが、日刊スポーツの戦力評価表を見たらスイッチが入るだろう。
しかし、まじで疲れた…。
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