インプラントだと？

　夕方６時過ぎ。わしは馬場の駅に降り立った。

　これが雀荘「サン」に行くなら、どんなに足取りが軽かったことだろう。それが「サン」の裏にある歯科に歯を抜きに向かったのだから、その差はこの世のメジャーでは測れない。

　抜歯で何が嫌というと、腫れている部分の歯茎に麻酔を打つことである。とはいえ、昔に比べて痛みが随分と軽減された。かつては、それこそ絶叫マシーンであった。

　麻酔が効いてくるまでの間、歯科医とよもやま話をしていたが、歯科医が40代と聞いてびっくりした。わしは、てっきり30代前半かと思っていたわ。

　そして、いよいよ抜く段になった。が、わけのわからない間に抜かれた。

　それだけその歯科医の腕がいいのか？　それとも、技術が進歩したのか？　それだったら、前日まであんなに戦うことはなかったぜ。

　問題は歯を抜いたことによる隙間をどうするかである。なんでも、歯に一番良いのはインプラントにすることだとか。

　が、値段を聞いて吐いた。全部で35万〜40万だと？　いくら保険が利かないからって高過ぎだ。

　思い切り引いていたら、ブリッジにする方法もあるという。それでもけっこう費用がかかりそうである。

　そして、また強烈にプッシュされたのが、21万かかる歯周病の処方である。でも、歯周病をなんとかしないと、この後何本も歯を失うことは確実。

　というわけで、21万ぶったくられる方向に話が進んでいった。次回の予約を取らされてしまったし。

　うむ〜、これじゃ、エステでの契約の再現だ。こうなったら、1000点1000円の麻雀を打つしかない。

　しかし、Ｘにそんな度胸はあるまい。誰か、マンション麻雀を紹介しろ。　

　今日の最後に、激しい運動、飲酒、長風呂をしないように言われた。そんなのはわかっとる。今日は１人カルピスを自重する。

　ともかく、今日は痛み止めを飲んでとっとと寝よう。