不敗の麻雀

 
 あいつら、雪の予報を当てくさった。まあいい、今日は休みだからよ。

 不倫報道があってから半井さんの天気予報を見ていないが、シレッとしていたのではないか? 女はそういうのに強いからな。

 半井さんも、ありふれた女だったということか。
それで、高原組長の嘆きを思い出したよ。

 梶原一騎作の‘愛と誠’に登場する‘影の大番長’高原由紀は、年少児の体験から氷のような性格をした女であった。が、太賀誠に惚れてしまった。

 それを知った高原組長は、
「由紀、お前、いつから、そんなありふれたベタついた女になったんだ? 父さんが惚れて養女にまでした、あの由紀はどこに行ってしまったんだ?」と吐き倒れたのであった。

  
  ‘影の大番長’高原由紀

 今日はクソ雪だったので読書に専心した。
読んだのは、押川雲太朗の‘不敗の麻雀’である。

  

 昨日の朝、職場近くのコンビニで‘不敗の麻雀’を手にした。その時は2冊あった。

 仕事帰り、ゲンダイを同じコンビニに買いに行ったら、残りの1冊が売れ残っていた。
名作間違いなしの本が売れないとは嘆かわしい。

 単行本化されていない押川雲太朗の名作があるのは聞いていた。ただ、その作品名は‘不敗’だったような気がする。麻雀ファンを引きつけるために名前を変えたのか? 

 ‘不敗の麻雀’は、闘牌原作は荒正義プロである。かつて押川雲太朗と荒プロは版権を巡って対立したことがある。2人の人間関係はわけわからん。

 押川雲太朗は、自分の別の作品に似た顔や性格の人物が登場するスターシステムを常用している。今回の主人公・滝沢は、‘リスキーエッジ’の寺田に瓜二つである。

 
滝沢、タキザワ…。おい、タキザワ、麻雀の負け分とヨーロッパ選手権の負け分を払え。

 ‘不敗の麻雀’においても、押川節が炸裂した。以下が‘不敗の麻雀’の名場面である。

  

  

  

  

  

  
 
  約1名、真逆の奴がいる

 そして、以下の場面が本作品のクライマックスである。

 あるでかい勝負の13回戦のオーラス、滝沢は6500点差でトップ目。滝沢は絶対にトップを取らねばならない局面であった。

 滝沢は、中盤、以下の手で張った。

  

 しかし、下家のハゲがを暗カンしてリーチ。すると、他の2人も次々と追い掛けた。(ドラ、カンドラとも

 

 

 

 ここで滝沢がツモったのは、4枚目の

 ツモ切りすると対面にズドン。

 を切って待ちをに変えたら、がともに満貫以上に刺さる。

 をカンして、単騎にしても、は他家に3枚とも使われていて山にない。待ちにして、その後に受けを変えても、も対面の当たり牌。

 まさに絶対絶命。
わしやXでも凌げないこの場面、滝沢はどう打つか?

 滝沢はを暗カンした。そして、リンシャンからをツモり、また暗カン。さらに、リンシャンからを持ってきて、スーカンツで流局にした。

 それじゃ、サンカンツだって? 下家がを暗カンしているだろ。よく見ろ。

 
こんな切り抜け方を荒プロはよく考えるよ。それには感嘆した。

 ただし、作品としては、‘根こそぎフランケン’の方が上。‘根こそぎフランケン’は、事実上の主人公の竹井以下、キャラが立っている。そして、そのキャラ同士のぶつかり合いが最高に面白かった。

 とはいえ、‘不敗の麻雀’を堪能させてもらった。続刊にも期待したい。

 明日もクソ雪だと? 明日は出前が不可。明日がポール星人との戦いにならないことを願いたい。



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