クイズ番組bP

 
 今日、満を持して、録画していたTBSの「クイズ番組bP」を見た。心技体とも充実していないと、クイズ野郎達に立ち向かえないと思ったからである。

 もっとも、充実といっても、超低レベルでの充実だが。特に心が怪しい。

 「クイズ番組bP」のコンセプトは、各チャンネルのクイズ王と、予選を勝ち抜いた5名とによる実力クイズ日本一決定戦である。言ってみれば、麻雀最強位戦のクイズ番である。

 第1回麻雀最強位戦は、まさにドリームマッチであった。

 東一局でチョンボの小島武夫、牌流定石・金子正輝、東大麻雀の井出、カミソリ・灘、死神・伊藤優孝、激辛流・荒正義、さらには、全く好々爺ではないムツゴロウ…。綺羅星のようなメンバーが揃った。

 納得いかなかったのは、ジュクで20年間・無敗の男・桜井章一が出場を辞退したことであった。野郎、負けるのが怖かったくせぇ。

 優勝したのは、桜井章一の代替で出場した片山まさゆきであった。代替出場とはいえ、片山まさゆきの腕はプロ級で、イカサマを考えることしか脳がない福本伸行の雀力を遥かに凌駕する。

 代替優勝といえば、誰もが1992年のヨーロッパ選手権を思い出す。ストイコビッチ、サビチェビッチ、ボバン、プロシネツキ、スーケル、パンチェフら、垂涎のメンバーで構成されたユーゴスラビアがユーゴ内戦で出場辞退を余儀なくされ、代替出場のデンマークがフランス、オランダ、ドイツなどを降して優勝した大会である。

 話が飛び過ぎた。「クイズ番組bP」に話を戻したい。

 やはり布川が出ていた。奴は、わしがいたサークルの後輩である。といっても、学年がだいぶ違うので、それほど深い関係ではない。

 ただ、わしは卒業後もちょくちょくサークルに顔を出していたので、奴とは何回か麻雀を打ったことがある。奴は、コバヤシ、マタと共に、「すっとこどっこい3人組」と言われていたほどヘボであった。

 ただし、クイズは鬼。そして、その知識欲も凄かった。

 わしがワールドカップサッカーに詳しいと知るや、第二学生会館のラウンジで、わしにワールドカップサッカーのクイズを出してくれるように頼んできた。

 奴に出題したのは、「第1回大会の優勝国は?」、「ユニフォームの色からアズーリと呼ばれる代表チームは?」、「ワールドカップサッカーの発案者は?」などだったような気がする。

 答えは、ウルグアイ、イタリア、ジュール=リメである。奴は、それらを熱心にメモっていた。

 布川がサークルに入ったことがエポックとなり、せいうちや書記長のような校風に合うような奴が絶滅してしまった。

 サークルの奴が全員メガネを掛けているのを見て、タキザワが、「あいつら、羽生軍団にはついていけん」と吐いていたのも無理はない。わしも奴らの時代に在学していたら、サークルに入っとらん。

 布川は、番組のリハーサルでは、「アイスクリーム頭痛」など、相変わらず訳のわからない問題を答えていたが、40人から8人に絞られるペーパークイズを通過できなかった。世の中、上には上がいるものだ。

 わしは、芸能人が出るクイズ番組は見たことがない。だから、宇治原が強いのはヤラセだと思っていた。

 が、番組のナレーションで、優勝候補筆頭と紹介されていた。さすがにそれはないと思ったが、実際、よく知っていた。

 宇治原が実力があると知っても、芸能人が出るクイズ番組は見ないがな。ちなみに、やくみつるも宇治原も、第一ステージで落ちた。

 クイズが好きな奴なら誰もが知っている長戸が復活したのに驚いた。それより驚いたのは、長戸が往年の強さを維持していたことである。麒麟も老いれば駄馬と思っていたのだが。

 ただ、年下だからといって、そんなに親しくない対戦相手を呼び捨てにしていたのは、不遜な感じがして不愉快に思った。わしは、基本的に呼び捨ては嫌いだ。

 かつて知識量なら日本一と目された水津さん、女性クイズ王の石野さん、強豪として名が知られている能勢さんや門田さんが出てなかったのは謎だ。

 水津さんの近況は全く聞かんな。存命なのだろうか? 

 第一ステージの問題は、全部で20問であった。編集の都合で、だいぶ割愛されたのには吐いた。

 公文式算数の公文氏のフルネームや、市原悦子の演じた家政婦の名前なんか知らねぇよ。秘露の読み仮名はペルーとわかったがな。

 「本屋に長くいると便意を催す現象を何というか」という問題にも吐いた。ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコルって、解答が長過ぎるよ。

 もちろん、わしは不正解だ。それでも、紀伊国屋でよくクソに行きたくなった訳がわかって良かったぜ。

 第二ステージは、対マン勝負であった。対マン勝負といえば、力対玉井だ。力対玉井は、漫画史上に残る死闘だった。

 「ニューヨーク・ヤンキースのロゴをデザインしたのは誰?」「チャップリンが来日した時の日本人秘書は誰だった?」を、2人とも正解するなんて考えられん。

 第二ステージでは、わしが見逃した「ワールドワイドクイズ」で並みいる強豪を倒して優勝した京大の若造と長戸との対戦が実現した。

 クイズは若い奴の方が記録力と反射神経がいい分、強い。だが、長戸が勝った。恐ろしい奴だ。

 しかし、この番組を見ていると、アタック25やNHKの連続クイズがオモチャに見えるぜ。リトルリーグとメジャーほどの違いがある。

 準決勝も対マン勝負であった。ただし、準決勝の方式は多答式クイズで行われた。

 多答式クイズとは、「国連の公用語を6つ全部答えなさい」「白波5人男の名前を全員答えなさい」というクイズだ。

 準決勝の多答式クイズで最も難しいと思ったのは、「ナポレオンが制定したレジオンド・ネールの5つの階級の名前を全て答えなさい」である。

 そんなもん、1つも知らん。それを余裕で正解する奴がいるとは信じられぞうだ。

 多答式クイズなら、「甲子園大会で春夏連覇を達成した高校を7校全て答えなさい」「麻雀で面前3ハン役を3つ全部答えなさい」だな。

 おい、競馬のヘタクソな奴よ。面前3ハン役の問題は秒殺だろうな。

 ちなみに、前者は「作新学院、中京、箕島、PL、横浜、興南、そして大阪桐蔭」、後者は「ホンイツ、ジュンチャン、リャンペーコー」だ。

 結局、決勝戦は、NHKの連続クイズの初代チャンピオンと、予選から勝ち抜いてきた伏兵の対戦になり、伏兵が優勝した。

 でも、そいつは、知る人ぞ知る超強豪くせぇ。開成高校の高校生クイズ王にクイズの手ほどきをしているというのだから。

 なんにせよ、こういう良心的な番組は、年に2回は放送して欲しい。芸能人がドタバタ騒ぎするクソくだらないバラエティの100倍は有益と言える。

 こんなに長い日記を書いたのは久々だ。さすがに、ここで絶筆…。


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