不幸の葉書きが来る

 
 行きつけの床屋から不幸の葉書きが転送されてきた。

 
「いつもご利用、ありがとうございます。この度、諸般の事情により10月8日(日)をもって閉店することになりました。長い間、本当にありがとうございました。今後はお客様のデータなどを下記の姉妹店に保管し、電話予約制とし、中野店スタッフが担当いたしますので、ご利用下さいますようにお願いします」 

 そうか。閉店か。

 といっても、経営不振が理由でないのは間違いない。いつも混んでいたからな。

 なのに閉店になったのは、その床屋を仕切っているおばさんの恐怖政治で若手がみんな店を辞めてしまったからだろう。弟に電話したら、弟も同意見であった。

 確かに、あの恐怖政治はシャレにならなかった。ちょっとでも粗相があると、客がいるのに面罵していたからな。今の若い奴でなくとも耐えられんよ。

 姉妹店が野方にあることは知っていた。駅から3分なら行くか。

 野方には土地勘がある。8年で大学を放逐された奴を、メンツにするために何度も迎えに行ったからな。そいつの家に電話など、あろうはずもなかった。

 野方は定食屋が充実している。床屋の帰りに適当な定食屋を探したい。

 それはいいけどよ、西武が優勝したら、優勝チーム当てクイズの500円券をもらえるんだろうな。閉店でチャラなんていうのは通用せんぞ。

 不幸の葉書きを受け取ったからには、不幸の手紙を出す。宛先は、またNHKだ。

 土曜日のデーゲーム・阪神−中日で、相変わらず、アナウンサーの伊藤慶太が他球場の途中経過を伝える際に、読売だけを、「ジャイ…」と言っていたのである。それも、何度も。

 もう許さん。今度は、伊藤慶太の実名を挙げて送りつける。

 そして、宛先は「プロ野球担当ディレクター」ではなく、「プロ野球担当チーフディレクター」にする。

 文面は半分ほど考えた。1週間以内に投函することを約束する。

 不幸手紙を書くことで燃えてきた。何かモチベーションがないとやってられん。

 いちおう、今日は消化日にならなかったことにしたい…。


次の日へ 前の日へ
日記トップへ HPトップへ
不幸の葉書きが来る