ムキリョクン節

 
 昼飯をムキリョクンと共にした。愚痴のシャワーと口撃を覚悟していたが、愚痴のシャワーだけで済んだ、それなら、また昼飯を一緒しても構わん。

 待ち合わせ場所は、高田馬場のビッグボックス前であった。4人集まって去っていった奴らを見て、「今からツモるんだろうな」と思った。

 今は4人で集合ということはない。雀荘「サン」に直行することになっているのでな。

 かつて「輪島」があった地下にある焼肉屋で食べる予定だった。が、潰れてなくなっていた。

 ついこの前まであったのによ。食べ物屋の栄枯盛衰はかくも激しい。

 仕方がないので、さかえ通りの「鳥やす」に足を伸ばした。しかし、飲み屋の「鳥やす」は営業していなかった。それで結局、さかえ通りの中ほどにある鉄板焼き屋に入った。

 4品ほど頼んだところで、腹が一杯になった。金竜飛のように胃が縮こまったのは確かなようである。

 最後に注文したのはチャーハンであった。そのチャーハンは塩味で効いて美味かった。とはいえ、信玄亭の死海チャーハンには遠く及ばない。

 チャーハンを食べる前にムキリョクンが温かい緑茶を持って来てほしいと言ったところ、金が掛かると言われた。

 なんだ、そりゃ。緑茶で金を取る店など、聞いたことがねぇ。

 商売が下手な店だ。そんなことだと、焼肉屋と同じ道を辿るぞ。

 ムキリョクンの愚痴は、いつも通り親戚に関してのものであった。「1番殺したい奴に介護が必要になりやがった。それで俺ら家族がどんなに迷惑したことか」というのは聞き飽きたよ。

 今回は、義理の母親の悪口も加わった。実際、悪口を言いたくなるほどハガいことになっているくせぇ。

 ムキリョクンに、「先月、今月と、20時間、残業をやった」と言ったら、「俺は年間1000時間ですよ。それも10年連続で」と返ってきた。

 それじゃ、精神が壊れるわな。雨だと休むおっさんなど、ムキリョクンから見たらブチ殺しものだ。

 ムキリョクンの言ったことで同意したのは、「人の遺産に口を挟む奴は人間のクズですよ」である。確かにそうである。姻族が遺産に口を出すのは言語道断だ。

 ムキリョクンは、「あと20年で人生が終わるかと思うとホッとしますよ」と、のたまわっていた。わしも、死ぬのはもう怖くねぇ。

 ただ、寝た切りになるのは御免だ。去年の入院中に受けた看護婦どもによる迫害がトラウマになっている。

 鉄板焼き屋からは、通りが丸見えであった。それで、ムキリョクンが真向いのキムラ店に出勤するキムラ嬢を見た。

 肌の露出の仕方と派手な化粧でわかったという。わしも、そのキムラ嬢を拝みたかったぜ。

 ムキリョクンとは、メシを食い終わってから別れた。ムキリョクンは漫画喫茶に向かい、わしは家路に着いた。ムキリョクンと漫画喫茶でペアシートに入るバカはしなかったのである。

 漫画喫茶に寄るムキリョクンに、「今、鷲巣が地獄を彷徨っていて、一向に終わる気配がない」と言ったら、「そんなもん、とっとと殺して、次のシリーズをやればいいじゃないですか」と吐いていた。御意。

 そのまま家に帰ったわしであるが、わしに気力があったら、元「麻雀大学」の「MAP」というフリー雀荘で打っていただろう。

 いや、わしが元気であったとしても、わしにふさわしいメンツがいない、そんな点5の雀荘には行かん。

 ムキリョクンと昼飯を食ったので、「アタック25」はまだ見ていない。明日の楽しみに取っておきたい。

 家に帰って、西武−読売を楽しんだ。「楽しんだ」というのは、西武が勝っていたからである。

 読売は完全にハマっているな。打ていないトライアングルの中、阿部の同点ツーベースと思われた打球をファインプレーで阻まれるとはよ。

 そのまま鷲巣のように地獄に落ちろ。そうしたら痛快だ。

 明日は、夜に「センズアンブレラ」という傘が宅配される。だから、それがどうした。

 もういい。今日は脱稿だ。



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