元同志

 
 わし、大酒飲みのおっさん、元同志の3人の会合は飲みにならず、食事会になった。3人中2人が酒がダメでは、飲み会にならん。

 で、新宿の牛タン屋で牛タン定食を食べた。定食という名からしてサラダが出て来るかと身構えていたら、付け合わせはホウレンソウのお浸し、白菜の漬物だったので、珍しくノーヒッターになれた。

 元同志は、週3回、透析を受けているそうだ。しかも、1回の透析に要する時間は4時間だという。

 それでも、読書家の元同志は、「本を読んでいれば、あっという間に時間が経つよ」とのことだった。わしなら、透析中はゲンダイで凌ぐ。

 元同志は、看護婦の質の低下を指摘していた。それについては、わしは実体験をもって知っている。‘白衣の天使’という言葉は死語のようだ。

 元同志は、まったくモテるタイプではない。が、10年前、46歳の時に、自分より背が10cm高く、10歳年下の都市銀行の女子行員と結婚した。それを知った時は、皆、驚いたものである。

 とっつぁんは、「カルピステクニックがうまかったから結婚できたんじゃないの?」と、カルピス・オヤジ振りを発揮していた。だから、カルピス合戦に持っていくまでが大変なんだよ。とっつぁんは、そのことがわかっとらん。

 元同志は、わしのことを、「君なら、まだ十分に結婚できるよ」と、わしに発破を掛けた。そういう気休めは聞きたくねぇ。わしは、生涯チョンガーよ。

 元同志から、いろんな話が聞けたし、牛タンもうまかったので、今日は納得だ。その店なら、また行ってもいい。

 大酒飲みのおっさんが、まだ8時だというのにウツラウツラしてきたので、その時間で散会になった。酒を飲んでないのに、「8時で眠い」って、幼稚園児じゃねぇぞ。

 しかし、大酒飲みのおっさんは、飲み会だと三次会まで行く。いったい、どういう体質をしているんだ? 

 明日は休みだ。無限の荒野が続くような不毛な日になる…。



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