麻雀はダメですよ

　
　相変わらず会話のできない男だ。号泣組翁のことである。

　しかっめつらのお兄さんの、「今日、全体会議のビデオ放映が行われるのは何階？」と問いに、「この前、全体会議に出ましたよ」と返答したのである。

　すかさず、わしが、「13階ですよ」と助け船を出した。ったく、世話の焼ける御仁だ。

　午前中、針の名人から携帯に電話が掛かってきた。「またドタキャンかよ」と吐きかけたら、「キャンセルが出ましたので、いつものように５時半からで大丈夫です」と言われた。

　それは助かった。６時からだと30分、時間を持て余すのでな。

　針の名人は、相当儲けているくせぇ。診察用のベッドにヒーターをつけ、セラミックタワーファンヒーターを診察室に入れた。

　1回7000円の診療で予約でいっぱいなら、そのくらいの金はクソ余裕だろう。それにしても、1回7000円って、名人からすれば、いい値段だ。

　今日の治療後、「もう元に度戻りました。前のように1か月に1回の診療でいいでしょう」とのお済みつきをもらった。が、「麻雀はダメですよ」と釘を刺された。

　わかった、わかった。しばらくやらんよ。保険バブルがはじけたしな。

　夕飯は、例によって‘かめや’で天玉うどんを食った。「熱いのはうどんだ」と何度も言わせるな。

　わしがうどんをすすっていたら、「天玉うどん」という声が聞こえた。「おお、同志よ」と思わずにはいられなかった。

　むろん、来月も天玉うどんを頼む。来月も生きていたらの話だがな。

　メジャー史に残る大投手だったカート・シリングが癌の宣告を受けたそうだ。

　確か、シリングは、引退後、自己破産したはず。それで今度は自らが癌とは、過酷すぎる運命だ。

　しかし、シリングは、「癌に勝つ準備はできている」とのコメントを出した。わしなら、癌を告げられた瞬間に癌に負ける。わしに告知は無用だ。

　って、まさか、この前、切除した大腸ポリープが悪性ってことはあるまいな。少し恐怖を感じている今日この頃である…。