明日はゼットン戦

 プー太郎生活328日目。

 昨晩も寝苦しかった。漬物石が胸を圧迫している感覚がずっとしていた。

 この感覚は、34歳の時に大失恋して以来の感覚である。もっとも、今回は失恋したわけではないが…。

 今日は、ティップネスに行かなかった。いや、行けなかった。ティップネスまで歩いて行くエネルギーがなかったのである。

 数か月前に女性インストラクターから、
「歌のレッスンで一本立ちできたら、ティップネスを辞めることになるわ」と聞かされた。

 それに対し、
「え、そうなったら寂しくなるね」と返し、軽く受け流した。それが、こんなに早く現実になるたぁ、「計算外だよ、玄大佐」

 こうなったら、わしが女性インストラクターの歌の生徒になったろか。自宅で教えているだろうから、自宅を知ることもできる。

 って、わしはストーカーかよ。ティップネスの他のスッタフには、そう思われているかもしれんな。

 しかし、わしの歌のヘタクソさはシャレにならんぞ。競馬がヘタクソな奴の競馬より遥かにヘタクソといえば、そのヘタクソぶりがわかろう。
 
 優しい女性インストラクターも、あまりのヘタクソぶりに匙を投げ、数か月で破門するのは間違いない。歌が極端にヘタクソだと、先生がどんなに優秀でも手の施しようがないというからな。

 いよいよ明日が最後のレッスンとなる。つまり、明日はゼットン戦だ。

 今晩は、相当うなされるだろう…。

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