デンマークの酪農


 デンマークは「酪農王国」として知られていますが、その名を得るには国ぐるみの努力があったのです。

 デンマークは19世紀後半にプロシアとの戦争に敗れ、ユトランド半島南部の肥沃な土地を失ってしまいました。ユトランド半島南部の土地は、国土の多くが地味の悪い氷食地であるデンマークにとって虎の子の土地であったのですが…。

 このことにより、デンマークは穀物生産国としての生命線を絶たれました。そこで酪農を発達させるべく、国ぐるみの努力を始めました。酪農を行うには乳牛が食べる飼料作物を栽培しなければなりませんが、飼料作物は地味が悪い土地でも栽培が可能なので、デンマークでも酪農を発達させることはができたのです。

 まず、酪農のノウハウを教える国民高等学校の設立しました。次に農業協同組合組織の充実を図ったのです。農業協同組合は、個人農ではできない大型機械の導入や乳製品の大量生産を一手に引き受けました。また、8年輪作など輪作形態を取り入れ、良質の牧草を確保し続け、氷河に侵されたやせ地を改良していきました。

 その結果、酪農が国の代表的な産業となるまで発達したのです。


次のページへ進む 前のページへ戻る
地理の項目へ トップページへもどる