その日は午後1時に会うことになっていた。相手はなかなかの美人であったと記憶している。
喫茶店に行ってランチをすることにしたが、ランチを注文するとよくハマるので、わしはバタートーストを注文した。相手の人が注文したのは野菜サンドであった。
その時、嫌な予感がした。わしは、きゅうり、レタスが全くアウトなうえ、野菜サンドに塗りたくられているであろうマヨネーズは絶対に食べられないのだ。
そして、運ばれてきた野菜サンドを見てますます嫌な予感が高まった。量がハンパじゃなかったのである。しかも、相手は見るからに食の細そうな人だった…。そして、その野菜サンドには余裕でマヨネーズがかかっていた。
案の定、「良かったらどうですか?」と、野菜サンドを勧められた。「良かったら」じゃねぇ。相手を気に入っていなかったら死んでも辞退するところであるが、「いいかな」と思っていたので、決死の思いで口にした。途中で何度もテッポウウオになりそうになったが、なんとか食べた。
しかし、「まずい」という表情がモロに出てしまったようだ。それで相手の人も、「野菜サンド、お嫌いですか?」と聞いてきた。「うん、ちょっと苦手かな」と正直に答えた。本当は、「ちょっと」どころではない。だから、「正直に答えた」とは言えん。
しかし、何が幸いするかわからないもの。野菜サンドから打ち解けて、話が弾み、付き合うことになった。
その後、どうなったかって? 「禍福はあざなえる縄のごとし」だ。
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