聴いてません


 うちの高校には面白い奴がたくさんいた。中でも、高1の時のクラスには面白い奴が多かった。

 わしらが高校生の時は、日本シリーズはデーゲームで行われていた。それでクラスで最も面白い奴が、そいつの隣の奴が聴いていたラジオの情報を廊下側にある黒板に書いていた。

 黒板にはランニングスコアのほか、先発ピッチャー、ホームランを打った打者なども書かれていた。しかし、当然、それは教師の目にとまる。それで地学のじじぃ教師が、「おい、そこ、立て」と、黒板に情報を書いている奴を立たせた。

教師:おい、お前、何、ラジオ、聴いているんだ!
生徒:(きっぱりと)聴いてません。(実際に聴いていない)
教師:じゃ、何でスコアがわかるんだ?
生徒:
カンです。

 その瞬間、そいつは廊下に叩き出された。
当然のことながら、そいつは間もなく張本の処刑を受けることとなった。

 その生徒は、生物の教師もおちょくりまくっていた。生物の教師は眼鏡が似合う、まじめな感じの教師だった。

 で、教師が、「じゃ、教科書の39ページを開いて」と言えば、そいつは、「はいっ」と一人でかい声で返事し、「明日までに実験ノート出すように」と教師が言えば、また教室中に響かんばかりの声で「はいっ」と言うなど、生物の教師が何か言う度にイチイチおちょくるように、「はいっ」と大きく発声していた。

 そして、ある日のこと。例によってそいつがその教師の言うことに「はいっ」とでかい声で返事したら、突然そのおとなしい教師がキレ、「お前、俺をなめてんのか」と言って、ボコボコにしてしまった。

 しかし、生物の教師がそんな爆発的な一面を持っているとは…。わしもよくおちょくっていただけに危ないところだったわ。

次のページへ進む 前のページへもどる
高校時代のはがい話し項目へ トップページへもどる