アホ後輩、終春


 夕方、ゆず湯から上がって、チョコレートをバクバク食っていたら(ハリマオじゃねぇぞ)、携帯が「栄冠は君に輝く」を奏でた。

 「今頃、誰かな?」と思って携帯のディスプレーを見たらアホ後輩の名が…。
う、今日は月末だ。また、愛人と痴話ゲンカでもしたか」と思いながら電話に出た。


野郎:どうやら今年で終わりみたいだよ。

わし:あ゛〜、またヨタ話しかよ。

野郎:そうかもしんないけど、もう原資がないから今年いっぱいでお別れだなぁ。

わし:なんだ、そりゃ? まさしく金の切れ目が縁の切れ目じゃねぇか。

野郎それでさ、今、会社抜け出して、会っていたんだよ。

わし
:しょうがねぇなぁ。

野郎:その話をしたら、ウソか本当か、泣いていたけどさぁ。でもねぇ、65回も会ったしなぁ

わしお前、イチイチ数えてんのかよ。

野郎
うん、店で7回、外で58回。俺、女関係とバクチは日記つけているんだよね

わし
:じゃ、お前、今年麻雀でいくら負けた?

野郎:15万くらいかな。それはそうと、ここで落ち込んだら、男が廃ると思ってさ。

わし
よく言うぜ。今まで何回醜態をさらしたんだよ。

野郎
:まぁまぁ、それは言わないでよ。今度また旅に出るかなぁ。

※旅に出るとは、新たにお気に入りのキムラ嬢に出会いに行くことである。

わし
:もうどうなっても知らんぞ。

野郎それより、年末キムラさんの家に泊まらせてよ。

わし
なぬ? 年末の予定はまだわかんないよ(本当はクソ暇)。

野郎:じゃ、あらためてまた電話するよ。


 ここで電話は終ったが、
冗談じゃねぇ。野郎のアホ話を一晩聞かされたら、廃人になってしまうわ。なんとか理由をつけて断る。

 
しかし、ホント、しょうがねぇ奴だ。つける薬がないとは奴のこと。このデタラメなわしがあきれ返るのだから…。下には下がいるもんだ。

 
これからしばらくまた奴の電話に怯えるってのは、どうにも納得いかん。

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