吉野家での出来事


 給料が振り込まれたばかりなのに、国税局の陰謀で緊縮財政を余儀なくされることになったわしは、さっそく今日から昼飯代を抑えることにした。  

 本当は信玄亭に行きたかったのであるが、涙を飲んで吉野家の牛丼を昼飯に選んだ。それにしても、さもしい昼飯である。  

 前、吉野家の牛丼を食べた時、妙につゆが少なく不満を感じたが、「つゆだくで」と言えば、つゆを多くしてくれるという。そこで、今日はつゆだくで頼んだ。さすがに、それの方がうまかった。  

 で、つゆだくを食べていたら、次に入ってきた奴が、「ねぎ抜き」を注文した。
これを聞いて、「ほぅ、こいつ、たまねぎが食えんのか」と妙な優越感に浸ったわしであった。

 でも、その男の行為、十分過ぎるほど理解できる。
しかも、度胸はわしよりそいつの方が上。わしは、マックで、「ピクルス抜き」とはよう言えんからだ。

 で、続いて入ってきた奴が、「並、つゆだく、
ねぎだくで」と注文したのには驚いた。こなた、「ねぎ抜き」、そなた、「ねぎだく」。連続で入ってきたこの2人の落差はいったい何なんだ?  

 それはそうと、ねぎだくができるとは初めて知ったわい。なんなら、次は、「肉だく」と言おうかな? さすがに、それは無理か。  

 ところで、吉野家がせこい抽選くじを配っていたので、それをもらったが、そうだろう、そうだろう、当たるわけがねぇ。昔からその手のくじで当たったためしがない。

 ガキの頃、町内の福引きで白球のキンタローアメにキレ、「白球しか入ってないんだろ」と、福引所のおやじに食ってかかったこともあるくらいである。

 さて、明日の昼飯はどうしようかな? 立ち食いうどんか、菓子パンか? それとも、力石のようにりんごだけにするか?   

 
いや、その前にアホ後輩に電話したる。野郎、今度という今度は何があっても払わせたる。乞、ご期待。


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