またかよ


 まったく漫画みたいな話である。  

 昨日、「アホ後輩に借金返済の電話を今日にもする」と書いたが、それを実行するべく朝から作戦を練っていた。

 で、また12時ちょい前に公衆電話からかけてやろうと思った。しかし、野郎は、わしの昼休み時間を知っている。

 この前、野郎の単純な誘導尋問に不覚にも引っかかり、昼休みの時間を教えてしまった。しかも、先だっても同じことをやっている。

 というわけで、今日は早弁をして、昼休みを2時から取ることにした。すなわち、2時に電話して野郎の裏をかくことにしたのである。

 すると、12時頃、デスクの上に置いてある携帯電話が震えた。前にマナーモードにし忘れ、「
イノキ、ボンバイエ」が部屋中に鳴り響くというハガい体験をして以来、マナーモードにすることを忘れたことがないのだ。

 ちょうどその時は、同僚と論議していた。で、同僚に、「ちょっと失礼」と断って携帯のディスプレイを見たら、なんと野郎からであった。

 本来なら飛んで火に入る夏の虫ってところだが、議論中だったのでネグレクトした。どうせロクな用じゃないだろうし。

 そしたら、また携帯が振動した。これもシカトしたが、さらに立て続けに携帯がブルブルするので、キリがないから数秒で切るつもりで出ることにした。

 その刹那、思い出した。月末は野郎からの泣きつき電話が多いということを。

 というのも、書くだにおぞましいが、野郎の愛人のせ×りが月末だからである。野郎の愛人はせ×りの時は情緒不安定になり、よく野郎のことを振ろうとするらしいのだ。それで、奴からの世迷言電話は月末に多いのである。

 
しかし、「せ×りの時には、情緒不安定になる」なんて話を聞かされるこっちの身にもなってくれよ。

 「あ、やばい」と思いながらも、出てしまった。すると、「
キムラさぁぁぁぁん、もう終わりかもしれないよぉぉ」という何とも情けない声が…。

 
そうだろう、そうだろう。だから、わしは月末は嫌いなんだよ。しかし、何が悲しゅうて、わしが奴の愛人のせ×りの時期を恐れなあかんの。バカバカしいにも程がある。

 長くなりそうだし、仕事もあるので、「今、休み時間じゃないんだよ。

 仕事で手が離せないから、今日は昼休みを2時から取るから、その時電話するよ」と切ろうとしたら、「2時は出先にいるから、夜、また電話します。毎度、すんません」だと。
ホントに、「すんません」もいいところだ。

 ここで、ふと思った。野郎は金を返したくないから、大芝居を打ったのではないかと。

 それにしては、声が真に迫っていたな。しかし、もし芝居だったら、野郎、今度という今度は許さん。

 というわけで、家に帰ってから、「いつ携帯が鳴るのか」とずっと落ちつかなかった。

 そして、午後8時。ついに携帯が、
「チャンスだ、法政」を奏でた。ディスプレイを見たら、当然の如く野郎の携帯番号が表示されていた。

  電話は30分で終わったが、奴の話を整理すると…。

「せ×りで情緒不安定なのに、『2か月前よりも好きでないかも』って言ったら、『二度と電話してこないで』と言われてしまった。でも、また冷却期間をおけば、元の鞘に収まると思う。だから、大落ち込みではなく、小落ち込みだ。けど、これで終わりでもいいかも。とかなんとか言いながら、頭ん中、混乱している。」

 
情けねぇなぁ。まあ、しかし、2か月前と全く同じ状況だな。なんで、また数日後に奴の明るい声が聞かれることだろう。

 ところで、その電話での数々のアホ発言をここに再現したい。一部、相当不穏当なものもあるけど、悪しからず。

 「
今まで半年間、楽しかったなぁ」…過去形でいいんかい。

 「
これで、もしかしたらマンション代を払うこともなくなるかもしれない。そしたら借金返せるよ」…なぬ? じゃ、ヨリが戻ったら返さん気かよ。

 「
今から曙町行って来ようかな。いい子に当たればいいけど」…しかし、懲りない奴だ。にしても、わしんとこに来ると言われなくて良かったわい。

 「
でも、こういうことって、2度や3度じゃないからなぁ」…その度にヨタ話しを聞かされているぞ。

 「
声はガラガラ声だけど、肌は本当にきれいなんだよ」…そんな話、聞きたくねぇ。

 そして、究極タイガー的発言。
 「
あの時の顔が一番好きなんだよね」…
狂った。

 
 もしまた関係が戻ったとしても、
月末のせ×りの度に振られて、その都度泣きつかれたんじゃ、こっちの身が持たん。今から9月末がハガい。


次のページへ進む 前のページへ戻る
日記目次へ戻る トップページへもどる