絶 句


 今日の昼休み、アホ後輩から電話がきた。今日は金曜だし、「また千両で飲もう」という誘いだと思った。

 そんなもん、当然却下だ。今日は残業しなくちゃならんし、だいいちヨタ話などもうええ。  

 そしたら、「今晩9時頃、家に電話をくれない?」だと。「何か話しがあるなら今しろよ」と返したら、「今、ちょっと時間がないんだよ」と言うんで、しゃあねぇから9時ちょっと前に奴の自宅にかけてみた。そしたらかみさんが出て、「まだ帰ってない」だと。  

 「この野郎、ちゃんといやがれ」と頭きているところに、すぐに奴の携帯からわしの携帯にかかってきた。
ややキレかけたところ、野郎が、「でさ、言いにくいんだけど、月曜の麻雀5時まででいいかな?」と申し出たので頭にきた。わしらのクソ麻雀は、11時過ぎまでやるのが恒例なのだ。

 「おめぇ、5時で切り上げて、女と会うんだろ」と詰問したら、「まあ、そういうことなんだよ」と言うので、「おい、せめて8時まではやれよ」と奴に迫った。


 しかし、わしもわしである。麻雀の時間を短くする申し出に激怒するたぁ。
 

 すると、野郎は拝み倒し攻撃に出てきやがった。


野郎:いや、そこを頼むよぉ。

わし:おめぇなぁ、やっといつもの4人でやることになったんだぞ。『女と会うな』とは言わん。せめて8時までやれよ。5時までじゃ、消化不良もいいところだろが

野郎:そこをなんとか…。

わし:だからさ、何も麻雀の後に会うことはねぇだろ。

野郎:それはそうだけど…。頼んます。一生のお願いだよ。

わし:…。  

 
 
さすがに絶句。そんなことが「一生のお願い」たぁ。しばらく二の句が継げなかったわ。

 しかし、いったいどういう人生を歩んでいるんだよ、そんなことが「一生のお願い」なんてよ。つくづく幸せな野郎だ。  

 イカれている奴をこれ以上相手にするのもバカバカしいので、いちおう6時という線まで譲歩させて電話を切った。しかし、納得いかん。わしが麻雀終わって家で膝を抱えている頃、野郎は女と…と思うと。  

 まあいい。いつも以上に野郎からかっぱいでやる。

 ん? 待てよ。もし奴をクラッシュしても、「今から会うんで金がいるんだよ」と、また借りようとするに違いあるまい。

 もしそんなことになったら、野郎、今度という今度は許さん。



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