セクハラ指南


 今更言うまでもないが、今日の昼飯も信玄亭であった。今日はいつもの時間よりやや遅れて行ったら、山ちゃんが暖簾を奥に入れているところだった。

 やぶねぇ。もう少しで食い損ねるところであった。麺がなくなったとかで、暖簾をはずしたらしい。ん? 山ちゃんはパシリか?

 で、オヤジに、
「今日もご飯類を頼んでよ。麺はないけど、ご飯はたくさんあるからさ」と言われた。それを聞いていた常連が、「そういうふうに見込みがデタラメだから、マスターは競馬が弱いんだよ」とオヤジに突っ込んでいた。

 やはりオヤジは競馬をやるのか。ということは、マーもやれるかもしれん。

 それはいいのだが、オヤジの野郎、特盛りのチャーハンを勝手に出しやがって。
「ご飯が余りそうなんでさ」だと? 俺は残飯整理係りじゃねぇぞ。今朝、とっつぁんに、「腰痛になったのは、エステをやめて体重が増えたからもしれんね」と言われて、減量を決意したばかりなのによ。

 とっつぁんと言えば、
今朝、とっつぁんに整形外科におけるセクハラを指南されたぞ。学生時代にウェートリフティングをやっていたとっつぁんは、何度なく腰を痛めて、整形外科の世話になったことがあるとか。

わし:昨日、整形外科のリハビリルームで指導を受けてね。

とっつぁん:ん? 姉ちゃんから指導を受けた? 

わし:いや、若い男だったけど。

とっつぁんきれいな姉ちゃんが相手だったら、わざとよろけるなどできるのにね。そしたら、支えてくれるからね。でも、ばばぁだったら、大鼻血。

わし:昨日たまたま休みだっただけで、そこにも姉ちゃんがいるかもしれん。他に何かいい方法はないか? 

とっつぁん痛くないところを痛いと言う手もあるよ。しかも、微妙なところを指定してね。まあ、これは「わざとよろける」と半分セットみたいなもんかな。でも、さりげなくやるのが難しいんだよ。

わし:なるほど。他には? 

とっつぁんあとは、保険証やカルテを深く握るという例の作戦ね。

わし:…。


 以上からして、とっつぁんは、整形外科でさんざんっぱらセクハラをやったくせぇ。よくそんなんで、出入り禁止にならなかったな。


 でも、だいぶ参考になった。
もしその医院にきれいなリハビリ師がいなくても、他でいろいろと応用できそうだし。


 というわけで、今日は久々に
市川由衣の出番となりそうだ。

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