最後の恋

　今回恋が成就しなかったら、これを最後の恋にしたい。

　しかし、不吉な前兆が２つある。１つは、絶対に有給を取らない号泣組翁が今日有給で休んだことである。もう１つは、帰ったら税務署から不幸の手紙が来ていたことである。

　にしても、号泣組翁は本当に号泣組だ。昨日の夜９時過ぎ、号泣組翁からわしの携帯メールに、「今、城崎にいます」というメールが入った。

　そのメールには、「新横浜６時18分発の新幹線に乗りました」、「新大阪で特急北近畿に乗り換えました」、「４時半に温泉に入りました」、「夕食にカニと但馬牛が出ました」など、どうでもいいことが連綿と書かれていた。

　わし以外にメールを送る人間がいないのか？　それに、どうせなら明日も有給にして５連休にすればいいじゃないか。

　それを明日は出勤というのだから。５連休にすれば、松江、出雲、石和、萩と、山陰地方の観光名所を巡れると思うのだが…。

　とくに出雲には行くべきだろう。出雲大社の縁結びの神様は、号泣組翁が毎年新年にお参りに行っている鶴岡八幡宮よりも霊験あらたかだと思われる。

　今日、家に帰ったら、税務署から封書が来てくさった。開けたら、「確定申告の取り下げ書に署名・捺印して、それを同封してある封筒に入れて税務署に送れ」とあった。

　頭きたので、「中野税務署御中」と書き換えるところを、そのまま「中野税務署行」で出してやる。

　ところで、午後、Xからメールがきた。それは、わしの「昨日の日記を読んだか？　お前なら、南に待ち換えするか？　それとも、４ピンのままか？」というメールに対する返信であった。

　「お前クラスだと安藤から南で和了るだろうが、俺クラスだと４ピンをツモる。チップが３倍違うからな」とは、ヘタクソめ。こんな奴をライバル視していたわしがアホだったわい。

　いよいよ明日から選抜が始まる。そして、いきなり大阪桐蔭が登場する。まさかとは思うが、心に安全弁を用意しておきたい…。