八甲田山行軍


 朝起きたら、外は一面の銀世界であった。それであいつらが予報を当てたことを知った。

 
クソ〜、日曜出勤の日に朝から雪とはついとらん。朝から八甲田山行軍になってしまった。

 八甲田山行軍では、第5連帯が加藤嘉演じる村のじじぃの案内を断った挙句に遭難したが、わしは母親の言いつけを守って長靴を履いて出勤した。おかげで、絶対に雪かきをしない2軒の家の前を無事に往復できた。

 
しかし、絶対に雪かきをしないって、とんでもない奴らである。それは公共の福祉に反するというものだ。

 その2軒は2軒ともロクでもない夫婦が住んでいて、片方の家のオヤジは、わしらがガキの頃、ボールが庭に入った時、絶対に取ってくれなかったクソ野郎である。一事が万事で、そいつが死ぬまでに1度ブン殴ってやりたい。

 もう一方の家はかみさんがハガい奴で、小3の時、とんでもない意地悪をされた。

 当時、その家ではドリトル先生が如く、30羽以上のセキセイインコを養っていた。それを見てインコを飼いたくなったわしら兄弟は、母親にそのばばぁにインコを何羽か譲ってもらうように頼んだ。

 そしたら5羽くれたのだが、それが1羽を除いて欠陥のあるインコであったのだ。残りは、嘴がひん曲がっているインコ、尻尾が切れているインコ、足を引きずっているインコ、病気持ちのインコだった記憶がある。

 ガキだったのでインコをもらえたことに素直に喜んだが、大人になって、そのばばぁが厄介払いをしたことに気がついた。

 
当然、そんな奴らに会っても挨拶などせん。どうせ奴らはわしの悪口を言っているだろうが、クズどもにどう思われようと眼中にないわ。

 ところで、今日予定されていた青梅マラソンが中止になったくせぇ。朝、新宿駅の場内放送でそう言っていた。参加予定の奴は、さぞかし気象庁の奴らを恨んだことだろう。

 これだけの雪だと、相当の重馬場になることは自明。それでXに、
「荒れるのは必至。今日はやめとけ」と注意してやった。そしたら、東京競馬は延期になったようだ。

 それは助かったな。
ほしのあきにも勝てない奴が重馬場のレースを取れるわけがない。

 今日はこれからやることがあるので、録画した
「ウルトラ兄弟を超えてゆけ」は、明日見たい。

 刹那的な楽しみであるが、楽しみがないよりはいい…。



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