ストーカー話
試練の5日連続出勤が終わった。それで自分へのご褒美として、帰りに床屋に寄った。わしが行く床屋は土曜日はいつも混んでいるが、雨だったし、世間一般は給料日前だから、すいていると読んだのである。
そしたら誰も待っていなく、すぐにわしの出番になった。その辺の読みの深さは、小島武夫の一点読み以上だと言える。
必ずと言っていいほどカットには、その床屋を仕切っているおばさんが参加する。今日は客がわし以外に1人しかいなかったので、最初から最後までおばさんがカットを担当した。
そのおばさんのカットの技術は一流である。わしのような奴が見てもそう思うことからして、腕がいいことは間違いない。
カット中はわしから話さないようにしている。わしは金竜飛と同じく、見かけによらずおしゃべりなんだがな。
今日は3月11日のことを聞きたかったので、わしから話し掛けてみた。震度5強の地震の際、シェービング中や洗髪中だった客がいたらハガいと思っていたのだが…。
おばさんは当日の話にほとんど乗って来なかった。当日を思い出すのが嫌だったのだろう。それはわしに非がある。
その後、おばさんは自分が2回ストーカーされた経験を話し始めた。
なぬ? あんな気が強い人をストーカーする奴がいたのか? それも2人も。
それからおばさんはストーカー話に興が乗ってきた。そんな話はどうでもいい。吐きまくりながら、適当に相槌を打っていたわしであった。
シェービングの担当は、おばさんから若手店員Aに交代した。おばさんはシェービングと洗髪は、主に若手にやらせるのである。
シェービングは床屋で最も気持ちがいい。だから、シェービングは大きな楽しみになっている。
が、今日は吐いた。わしのシェービング中ずっと、おばさんの若手店員Bを叱り続ける怒声が店内に響いていたのである。
おいおい、勘弁してくれよ。それじゃリラックスできねぇじゃねぇか。
そういうのは客に聞こえないようにやってくれ。若手定員だって、客のいるところでガミガミ言われたら嫌だろうよ。
だから、若いのが定着しないわけだが。やはり、このおばさんをストーカーした奴が信じられぞうだ。
レジでの支払いの際、プロ野球クイズをやらされた。セ・リーグとパ・リーグの優勝チームを当てると、それぞれ店の500円分の商品券が当たるクイズである。
セ・リーグは阪神、パ・リーグはソフトバンクにした。セ・リーグを読売にするバカはしない。
選抜優勝校クイズも企画されていただろうが、東海大相模を当てた奴はいるのか? オッズは100倍以上だったと思われる。もっとも、正解した奴が何人だろうと、上限も下限も500円分の商品券だが。
本命の日大三に優勝されなくて助かったな。相当の奴が日大三にしただろうからな。
明日は久々の休みだ。生きていれば、10時頃には目が覚めるだろう…。
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