杖なしで出勤

 
  ついに杖なしで出勤した。ただし、ラッシュ時の電車の中では、執念でつり革や手すりにつかまった。ただ単に両足で立っていたら、電車が揺れた際に腰に大きな負担がかかるのは自明だからな。

 駅では、エレベーターとエスカレーターをフル活用した。見た目が健常者の奴が駅のエレベーターを使うと冷たい視線を浴びることもあるが、そんなのは知ったこっちゃねぇ。

 しかし、まだ腰に張りがある。腰に入っていた菌は死滅したから、今こそ針治療が有効ではないか。

 今度、入院していた病院の主治医に針治療を受けるべきか聞いてみるか。間違いなく、効果はないというだろうな。

 整形外科と針治療は、お互いを認めていないはず。両者は、直線的な手作りをしてツモ和了りを目指す樫原と、ありとあらゆる卓外戦術を用いて負けない麻雀を打つワニ蔵のような関係か。

 針といえば、まだ高田馬場の針灸の先生にお礼をしていない。義理堅さでは関羽に劣らないわしが、そうこっちゃいかん。

 う〜む、どういうお礼をしたらいいものか? 菓子折を持って行くか?

 それとも、その先生の元に通うのがいいか? ただし、それだと金がもたん。お礼状をつけて、何か高級食材を送り届けるのがベストと思われる。

 杉内のピッチングを見たかだと? 「いい旅夢気分」にチャンネルを合わせていたに決まってるだろ。

 今日のNHKのアナも、「ジャ…」と「楽天」と言っていたな。頓挫してしまった不幸の手紙をNHKに送ってやる。

 明日の出勤も杖は必要なかろう。杖が再び役に立つことがないことを願うのみだ。


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