大会13日目
安樂は完全に限界を超していたようだ。乱打されている安樂を見るのは忍び難かった。
強豪ばかりが相手の緊迫した4試合を完投して、今日も強打の浦和学院に対して好投しろというのは無理ってもの。山根のセンター前ヒットで勝ち越された時点で、緊張の糸が切れたくせぇ。
一方の浦和学院の小島は、余力を持っての決勝戦だった。準決勝までの相手に強豪は皆無で、しかも、かわい子ちゃんが2校もいたからである。
そのかわい子ちゃんの2校はどこかだと? それについては、ここで申し上げる。土佐と山形中央だ。
土佐が応援団最優秀賞とやらを取ったのは、競馬がヘタクソの奴のチートイ・リーチよりも見え見えだった。それより、早実が優秀賞の選に漏れたのは納得いかん。21世紀枠みてぇな選出をするな。
こうしてみると、浦和学院はくじ運が良かった。大会前に朝日が挙げた5強と対決することなく優勝したのだからな。
その5強も、直接対決がなかった。5強は、報徳以外は、済美、県岐阜商、高知といった5強に次ぐ実力校の前に屈した。夏の甲子園では、5強による直接対決を甲子園で見たいものである。
今日の試合は、5回の浦和学院の7点で勝負が決した。同点になって、なおもノーアウト1、3塁で、スクイズのサインミスで三塁ランナーが刺された時は、「森士ぃ」という声が出たが…。
しかし、その後、デッドボールとエラーでランナーがクリーンアップの前に溜まったのが、安樂にはハガかった。それから4連続短長打。6点差になっては、粘りの済美打線もお手上げだ。
済美の上甲監督は、「9年前とはチーム力が違います」と言っていたそうだ。確かに、9年前は、強打の1・2番の甘井・小松に、高橋・鵜久森とプロに入った3・4番、6番と7番は長打力のある野間・田坂の右投げ左打ちの2人、さらにエースは現広島の福井という豪華な顔触れであった。
その点、今年は安樂に掛かる比重が大き過ぎた。夏の地方大会で、打線の援護がなくて敗れるということも十分に考えられる。
今大会で最も熱戦だったのは、済美−広陵だろう。広陵も、万全の状態の安樂と対戦しなければならかったのは不運であった。
また、最も吐いたのは、大阪桐蔭−県岐阜商である。もっとも、この試合は、キャッチャーの森が試合に出られないと知った時に吐き倒れたが。もちろん、試合終了の瞬間も狂った。
今大会で感じたのは、@スクイズを試みるシーンが例年に比較して極めて少なかったこと、Aエラーと思われたプレーが内野安打に記録されたことが多かったこと、Bデッドボールで謝るピッチャーが少なかったことである。
特に@だ。昔は、スクイズが決まるかどうかで勝ち負けが決まった試合が多かったものだがな。
ベースボールマガジン社の選抜ガイド号で浦和学院を見たら、「尊敬する人物」を「森士先生」としている選手がけっこう多くて驚いた。エースの小島もそうである。
広陵は、例によって、選手のほとんどが、「尊敬する人物」として、「中井先生」と答えている。逆に言えば、「尊敬する人物」に監督が1人も挙がっていない高校は、監督の人間力がないのだろう。
あらためて書くまでもないが、三白眼の男が率いている高校の選手が、三白眼の男を「尊敬する人物」とした例は皆無である。
ともかく、今大会は順延がなくて良かった。わしの特別休暇が無にならなかったからな。夏の大会も、台風による順延などあるなよ。
果たして、夏は選抜に出場した高校のうち、何校が甲子園に戻って来られるであろうか。大阪桐蔭が大阪予選で姿を消しそうな嫌な予感だ。
早実はダメよ。打線がかわい子ちゃんではな。
今日は、12時過ぎに起きた。だから、ダルビッシュがあと1人で完全試合を逃したことは、ネットで見るまで知らなかった。
まあ、ヒットを打たれたのでは仕方あるまい。これが味方のエラーだったりしたら、マウンドで絶叫マシーンだったろう。
現在、4時半。明日から、また仕事が待っている。が、プータローのとっつぁんよりは幸福だ。
さ、今から、ゲンダイと夕食の弁当を買いに行くか。選抜が終わった寂しさよりも、そっちの方が寂しいのは言うまでもない…。
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