4人目のミューラー

 
 競馬がヘタクソな奴の昼休みに電話した。

 
わし:おい、昨日の日記を読んだか? 

 野郎:読んだよ。

 わし:まさか、××の店長とは思わなかったよ。お前、××に行ったことがあるか? 

 野郎:ないよ。

 わし:昨日、不動産会社の兄ちゃんに、
「外国人の方がまだ属性がいいです」と言われたよ。

 野郎:そうだろうな。

 わし:5巡目に3メンチャンの満貫リーチを掛けて、カンチャン待ちの追っかけリーチに一発で打ち込んだような気分だ。

 野郎:まあ、気持ちはわかるよ。

 わし:お前が車のディーラーをやっていた時、そういう審査って、あったのか? 

 野郎:あったよ。ヤーさんに売ったこともあったな。

 わし:今週、2件、内覧が入っているけど、期待はしてねぇ。

 野郎:そう言いながら、期待しているんだろ。

 わし:まあな。ところで、先週は勝ったのか? 

 野郎:勝ったよ。土曜は2万勝って、日曜は1万8千円負けた。

 わし:そういうのは勝ったとは言わん。それはそうと、この前のラスト8回の傷は癒えたのか? 

 野郎:まだだねぇ。

 わし:ワールドカップが終わったらやるからよ、メンツ集めをしとけよ。

 野郎:努力します。

 わし:このところ、暗い日記ばかりだ。

 野郎:日記で明るい話って、あったっけ? 

 わし:東武動物公園に行ったとか。

 野郎:ホワイトタイガーを見たんだっけ?

 わし:うるせぇ。それがハガい思い出になっているんだよ。


 ここで奴の昼休みが終わりに近づいたので電話を切った。奴の会社の昼休みは45分しかないのである。

 話の内容はともかく、ワールドカップ後の7月に打つことになったのは収穫であった。7月に顔を合わせた時は、奴に、
「座った時から差があるんだ」を実感させてやる。


 ドイツ−ポルトガルは、意外な大差になった。ドイツが強かったというより、ポルトガルが自滅したな。

 PKで先制点を与えたうえ、前半に守備の要のペペが一発レッドでは、ドイツに勝てないって。ドイツ相手に1人少ないのは、麻雀で言えば少牌しているようなものである。

 ドイツは、トーマス・ミューラーがハットトリックをした。これで、トーマス・ミューラーが4人目のミューラーになったのは間違いない。

 それまでの3人のミューラーは、ゲルト・ミューラー、デューター・ミューラー、ハンジ・ミューラーの3人である。

 
「キャプテン翼」に登場する西ドイツの鉄壁のキーパー:デューター・ミューラーは、その3人のうちのデューター・ミューラーをパクったのは書くまでもない。

 ポルトガルは終わったな。C・ロナルドも、こんな結果になるとは思っていなかったであろう。

 C・ロナルドは、ボールを持つ度にブーイングをされた。C・ロナルドは男の敵みたいな奴だから、男のヤキモチか?

 ガーナ−アメリカは、見ていてワクワクした。ガーナのシュートの雨は圧巻だった。

 そして、ついに後半37半に追いついた。しかし、アメリカは勝負強い。後半41分にコーナーキックから勝ち越した。

 ガーナ−アメリカが決着したことで、ポルトガルはますます苦しくなった。今のチーム状態やC・ロナルドの不調を考えると、ガーナ−アメリカが引き分けに終わってとしてもダメだろう。

 今、木曜に出前を取る算段をしている。明日、その決断を下したい。

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