ブランド女


 今回はシャレにならない話である。
 
 今回の相手は遠方に住んでいる人であった。何でも、その人は東京の男と結婚したいとのこと。

 で、会ったら榎本加奈子似できれいではあった。なぜか会った時に話が盛り上がって付き合うこととなり、とんとん拍子に話が進んでいった。

 が、引っかかる点が2つあった。一つは、前の男の話をわしと会うたびに事細かに話すこと。それはタブーというものだろう。いや、タブーというより反則だ。それも、虎の穴のレスラー顔負けの大反則といえるだろう。

 もう一つは、その人が異常なブランド好きだったこと。
わしゃ、ブランドのブの字にも興味ないんだよ。ていうか、ブランド好きの奴は軽蔑すらしておる。

 それにしても、その人のブランド好きは尋常ではなかった。なにせ1000万円も洋服代に使い、家の一部屋が洋服で埋まっているそうだ。

 さらに、その人の家は一家そろっての筋金入りのブランド好きで、休みには一家でプラダのバッグなどを見に行くと言っていた。また、一家で飼っている犬も血統書つきの犬とのこと。

 その人に会いに遠方に行った時も、ブランド店に連れていかれ、「この靴、どう?」と言われたことがある。その靴の値段は5万円だった。

 アホか。靴なんか消耗品だろ、5千円ので十分だよ。
さらに、「メンズノンノ」とかいう雑誌を読まされ、テレビ東京の「ファッション通信」を見させられた。ともにわしに苦痛しか与えんかったのは言うまでもない。

 あげく、結納をしない代わりにお互い30万円の時計を交換しようだと? 何を考えているんだ。
時計なんて正確に動けばそれでいいんだよ。

 そのようにやばい人だったが、振られたばかりで心に風穴が開いていたこともあり、 周りに大反対されながら、話を進めてしまった。実際、友人も、「人のことだからとやかく言えんが、俺は勧めんな、その女だけは」と言っていた。

 そして、いざ新たに家を探す段階で、「田園調布沿線がいい、だめなら小田急沿線か井の頭沿線」と言われ、これはさすがにやばいと思い、新居を探す気力をなくした。

 そうこうするうちに、こちらのやる気のなさが伝わったのか、向こうから断ってきた。また振り出しに戻ったという脱力感もあったけど、ほっとした面の方が強かったのが正直なところである。

 先日会った、良き家庭を持つ先輩にその女のことを話したら、「そりゃ、お前、一緒にならずに正解だったよ」と言われた。先輩も「結婚するなら心から気を許せる相手だよ」と言っていたけど、その通りだと思う。

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