日本の貨物輸送


 高度経済成長期全盛期の1965年度の統計を見ると、貨物輸送に占める鉄道の割合は31%、同じく自動車の割合は26%でした。そして、2002年度の統計では、貨物輸送に占める鉄道の割合は4%、同じく自動車の割合は55%となっています。その昔、今の埼京線の池袋−渋谷間のレールを長い編成の貨物列車が日に何回も往来していたものですが…。

 貨物輸送において鉄道の割合が極端に下がった理由の一つに、日本の産業構造の変化を受け、重量貨物が減り、高付加価値の小型軽量貨物が増えたことが挙げられましょう。また、高速道路網など自動車の整備が進んだことやドア・ツー・ドア輸送が普及したことで、鉄道よりもはるかに自由に移動できる自動車輸送によって鉄道輸送が淘汰されていったこともその大きな理由の1つでしょう。

 しかし、自動車による輸送は貨物の積み下ろしを路上で行うため、道路の混雑を引き起こす問題があります。また、長距離運転による運転手の疲労、運転手の人手不足、大気汚染の問題も抱えています。

 そうしたことから、出発から到着までのすべての道のりをトラックで運んでいる貨物を途中で鉄道や船に乗せ代えて輸送する方式が試行されています。この方式をモーダルシフトと言います。


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