東京のドーナツ化現象


 ドーナツ化現象は、都心部の常住人口が減少することをいいます。都心部では、昼間は労働者で人口が多いのですが、夜間になると労働者が郊外の家に帰宅し、人口が極端に減ります。東京都心部ではとくにそれが顕著です。

 都心部で人口の減少が見られる要因として、地価の高騰、生活環境の悪化などがあげられます。とくに1980年代後半から90年代前半にかけてのバブル期における東京都心部の地価の高騰はすさまじいものがありました。また、同時期には都心部のさらなる開発が進み、生活環境は以前にも増して悪くなっていきました。

 そうしたことから、1990年前後における千代田区など東京都心部の人口は著しく減り、それに伴い、幼年人口も減少しました。そのため小中学校が生徒の減少により維持できなくなり、近隣の小中学校統廃合が進んだのです。

 また、都心部のさらなる開発や人口の減少は、既存の商店にも影響を及ぼしました。立ち退きを強要されたり、売上げの減少により閉店になった商店も少なからずありました。

 このようにドーナツ化現象は都心部に居住する人々に多くの苦悩をもたらしたのです。しかしながら、バブル崩壊後の地すべり的な地価の下落により、東京都心部でマンションが数多く売られるようになり、現在では人口が増加しています。


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