酸性雨


 石炭や石油などの化石燃料の燃焼により生じる硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気汚染物質が大気中で硫酸塩や硝酸塩に変化し、これを取りこんで生じると考えられる酸性度の高い雨を酸性雨と言います。

 通常の雨にも大気中の二酸化炭素が溶け込んでいて、pH5.6の弱酸性を示します。酸性雨はこれ以上に酸性の強い雨を指します。なお、pHとは水素イオン濃度の値のことです。7が中性で、0に近づくほど酸性が強いことを示します。ちなみに、胃液のpHは1だそうです。

 
酸性雨は発生源から数千kmも離れた地域にも拡散する性質があり、ヨーロッパや北アメリカの大西洋岸では偏西風に乗って、発生源である工業地帯の風下側に被害を与えることがあります。このことから、酸性雨は「もらい公害」と呼ばれています。また、中国では酸性雨は「空中鬼」といわれているそうです

 日本においても、日本海側において、中国大陸からの大気汚染物質の飛来が指摘されています。改革・開放政策を採る中国では工業化が著しいのですが、使用する石炭や石油の硫黄分が高く、排出の際の脱硫装置などが不備なため、大気汚染物質が偏西風や北西モンスーンに乗って日本に飛来してきているのです。


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