スイスでは、夏と冬で飼育場所を移動させる移牧と呼ばれる、遊牧と酪農の特徴をミックスさせた牧畜業が見られます。
スイスは山がちな国土であり、耕地面積率は10%ほどしかありません。また、かつて氷河に侵食されたことにより、土地生産性も低くなっています。そのため、農業を発達させることができなかったのです。
移牧とは季節的移動による牧畜業のことで、夏は牧童を伴って2000〜3000mの山地に登り、アルプと呼ばれる高地牧場で乳牛を放牧します。
高地牧場の一帯の夏は涼しく、牧草が一面に生えるので放牧にはうってつけなのです。ちなみに、アルプス山脈は、アルプの複数形から命名されたものです。
高地に雪が積る冬は山麓に下りてきて、山麓の畜舎で乳業を舎飼します。以上のように、夏と冬で飼育場所を移動させるので、この牧畜形態を移牧というのです。
この牧畜業から生まれた料理がチーズ・フォン・デュです。チーズ・フォン・デュはチーズを鍋の中に入れて熱し、溶けたチーズをパンについて食べる料理で、スイスを代表する料理として有名です。
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