火砕流とは、およそ500℃〜1000℃の高温のガスが火山灰と火山岩塊が混じり合って、斜面を時速100kmから200kmといった高速で流下する現象をいいます。大型の火砕流の場合、流下速度は毎秒100mを超え、一瞬のうちに数千km2の地域を覆い、堆積物の厚さは最大100mを超えることもあります。
火砕流は液体としてゆっくり流下する溶岩流よりはるかに危険で、発生したら逃げることが困難なことは、火山専門家の間ではよく知られています。それが証明されたのが雲仙岳の噴火の際に発生した火砕流で、逃げ遅れた消防士など30人以上が犠牲になってしまいました。
火砕流が発生するのは、ガス成分が多く、粘性の高い溶岩が噴出する成層火山やカルデラ火山です。このような火山はマグマが火口から上昇して来てもなかなか爆発せず、蒸気圧が最大限になった時に一気に噴火します。ですので、一度噴火すると大きな被害が出てしまいます。
それとは対照的に、ハワイ島のキラウェア火山など溶岩の粘性が低い火山は、マグマが火口から上昇するたびに溶岩となってさらさらと流れるため、爆発が小規模なので怖くないのです。
カリブ海にグアドループ島というフランス領の島がありますが、ここに位置するモンペレー山はとくに爆発力のある火山として知られます。19世紀にモンペレー山が大爆発した際は酸素を含まない蒸気が一気に飛び散り、一瞬のうちに町を全滅させました。町で助かったのは地下牢にいた囚人1人だけだったそうです。
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