スリランカの民族


 スリランカは、シンハリ人とタミル人の対立が激しいことで知られていました。なぜ、彼らは鋭く対立していたのでしょうか? それは、宗教、民族の違いによるところが大きかったといえるでしょう。

 南部に居住するシンハリ人は仏教徒です。一方、北部を占めるタミル人はヒンズー教を信仰しています。また、シンハリ族はインド北部から侵入し、インドの先住人であるドラビダ人を南方に追いやったアーリア系人であり、タミル族はその南方に追いやられたドラビダ系人なのです。

 ちなみに、アーリア系人はいわゆる‘白いインド人’であり、ドラビダ系人は‘黒いインド人’です。前者の例として、プロレスラーのターガー・ジェット・シン、後者の例として、「ズームイン朝のワンポイント英会話」で御馴染みだったウィッキーさんを思い出すとわかりやすいでしょう。

 両者のうちで政治的実権を握っているのは、多数派を占めるシンハリ人の方です。タミル人は、スリランカの独立後、公用語・経済対策・就職問題などで差別され、分離独立を求めて、シンハリ人に対してしばしばゲリラ活動を行ってきました。

 中でも、「タミル=イーラムの虎」と称するタミル人過激派組織は資金が潤沢で、テロ行為の多くは彼らによるものでした。タミル=イーラムの虎による1993年の大統領暗殺は大きな話題を呼ました。

 「タミル=イーラムの虎」の崩壊により、スリランカの民族問題は解決しましたが、シンハリ人とタミル人の対立はまだまだ根深いようです。


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