南九州の牧畜業


 鹿児島県では稲作は振るわず、古くから甘薯や葉たばこなどを栽培する畑作が行われています。それはシラス台地が広がるなど地味が悪い土地が多くを占めるからです。

 また鹿児島県では、肉牛、豚、ブロイラーの飼育も盛んで、大企業の出資のもとで展開されるようになりました。その結果、肉牛の頭数は北海道に次いで全国2位、豚とブロイラーの頭数は全国一を誇るようになっています。鹿児島産の黒豚はブランド品として、有名企業が偽商標をつけるくらい、その地位が高いものとなっているのは周知の通りです。

 鹿児島県や宮崎県では、商社やスーパーマーケットなどの大企業やJA(農協)が農家と契約して、大規模な施設で肉牛・豚・ブロイラーを飼育しています。ここではコンピューターによって生産が管理されており、常に良い畜産品を出荷できる体制をとっています。

 しかし、アメリカやオーストラリアからの安価な畜産品との競合という問題を常に抱えています。とくに1992年の牛肉の輸入自由化は、南九州の牧畜業に大きな影響を与えました。

 とはいえ、南九州産の豚肉はきわめておいしいので、値段が高くてもニーズは少なくありません。


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