メっ


 今回は幼稚園の先生が相手である。「幼稚園の先生は母性的だから、わしに向いているかもしれん。


 しかし、もしわしと一緒になったら…。家に帰ってまで幼稚園児の相手は嫌だろうなぁ」
ってなことを考えて臨んだ。

 相手はきれいな人で、おやじさんが大企業の重役という完全なるお嬢さんだった。まあ、相手の家柄など、どうでもいいんだがな。

 そういうことで期待は高かったが、サテンで吐きまくった。わしが何をしゃべっても全然答えが返ってこないのだ。
ただ黙ってうなずくだけたぁ。ったく、ビートきよしじゃねぇぞ。

 ジャブを打とうが、フックを放とうが、アッパーを繰り出そうが、全くパンチがヒットせん。ボクシングじゃ、空振りが一番疲れるんだよ。しかも、向こうからのカウンターパンチもない。

 こうなるとどうにもならん。
1人で質問して1人で答えるという異常な状態が続いた。しかし、それだけダマでよく幼稚園の先生ができるな。

 それで頭にきて、やや怒気を含みながら、「園児が悪さをしたら、何て言って怒るんですか?」というぶしつけな質問をしてしまった。


 で、その答えは、「『メっ』って言います」…。もうあかん、メゲタ。
さすがに、「そろそろ出ましょうか?」になった。

 よほどわしが気に入らなかったのか? それとも、生来の無口なのか? そんなんでは幼稚園の先生はできんと思うのだが…。

 わしはシャドーボクシングをやりに新宿に行ったんじゃねぇ。


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