ノーパン喫茶
わしの高1、高2の担任であった体育教師は、剣道六段、柔道二段の張本勲そっくりの猛者であった。この男は、殴る蹴るは当たり前の暴力教師として君臨していた。
そして、事件は修学旅行の時に起きた。修学旅行の行き先は京都であった。
私立で高い金取ってんのに行き先が京都とはセコ過ぎだ。それにしても、男だけの修学旅行はうざったいだけ。
さて、その事件に話を移そう。修学旅行二日目は、あらかじめ行き先を担任に提出したうえでの班ごとの自由行動の日だった。
わしらの班は一応まじめに行動したが、ラグビー部から構成されていた班は違った。奴らは、当時世に出たてのノーパン喫茶に行ったのである。
その日の夕食後、張本が、「おい、班長、今日行った寺なんかの券を持って来い」と、ドスを効かせて言った。当然、ラグビー班は何も出せず、間もなく張本の部屋へ全員が連行された。
その時間は確か7時頃だったが、9時を過ぎてもラグビー班の奴らは帰って来なかった。その後、10時、11時を過ぎても戻らない。ようやく12時過ぎに解放されたが、ラグビー班の奴ら、全員顔が平行四辺形になっとった。
あくる日はクラスごとのバスでの京都観光の日であった。朝、バスに乗るなり、張本が、「バスの中で寝たら殴るぞ。バスん中で寝るということは、きのう遊んで寝ていないということだからな。」と言うので、わしは真っ青になった。なぜなら、枕が変わると寝られん性質のわしは前の晩あまり寝ていなかったからだ。
途中、何回も寝そうになって隣の奴に、「おい、寝るな」と励まされ続けた。ったく、雪山で遭難してんじゃねえぞ。
追記:ラグビー班の奴らが行った大阪のノーパン喫茶は、当日うちの生徒であふれかえっていたという。しかし、殴られたのは奴らだけだった。ハガ過ぎ。
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