まきぞえ


 この話は、まだわしが入学して間もない日のことである。

 その日は1時間目が英語のリーダーの時間であり、小テストが予定されていた。その小テストは高校入学後の初めての試験であった。なので試験に備えて、皆、まじめに勉強してきていた。

 ところが、英語教師のかみさんのおやじが亡くなったということで、小テストが中止になるという情報が英語教師が担任をやっていたクラスの奴からもたらされた。それで教室の後ろの方の連中が万歳三唱をやった。
そこに折悪く張本が入ってきた。

 
当然のことながら、万歳をやっていた奴らは血祭りに挙げられた。「お前ら、人の不幸がそんなに嬉しいのか?」と言いながら、張本は次々とビンタを飛ばしていたが、誰が万歳やったかを張本は正確には把握できていなかった。

 だから、万歳の声がした辺りに座っていた奴全員を手当たり次第殴ったのだった。中には万歳などせずにまじめに予習していた奴もいたのによ。

 それにしても、まきぞえになった奴ら、ハガ過ぎ。ホント、席が前で良かったぜ。

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