子供の頃、最も強烈なショックを受けた話は、帰ってきたウルトラマンの「ウルトラマン、夕日に死す」である。
題だけでビビっていたところを坂田兄妹がナックル星人にあんな残酷な殺され方をされるのだから、ショックなんてもんではなかった。
しかし、あの坂田兄妹が殺されるシーンは教育上良くないのではあるまいか? それと郷秀樹も泣けよな。あれだけ自分を慕っていた恋人が死んだんだからさ。
肝心のウルトラマンとの闘いのシーンである。まずナックル星人は、用心棒怪獣・ブラックキングをウルトラマンにぶつける。
ウルトラマンはいきなりスペシウム光線を出すが、ブラックキングには全く効かず。これは、いかな小さい子供だったわしにおいても読みの範疇であった。
しかし、続いて繰り出したブレスレッドが跳ね返されるとは…。あのセブンから授かった万能の武器が通用しないとは…。ここでわしはまっつぁお。
そこで場面が変わり、正体はナックル星人である博士が歩いているシーンが映し出される。博士はやおら立ち止まり、ナックル星人に変身し、巨大化。そして、テレポーテーションで、ウルトラマンとブラックキングが闘っている場所に出現。
ブラックキングだけで持て余しているところにナックル星人が加勢するとは…。ナックル星人はメチャクチャ強いはずだから、この場面には全国の子供達が恐怖を感じたことだろう。ナックル星人の登場とともに、ウルトラマンピンチの曲がかかったのも、さらに恐怖を煽った。
ここで正視することができなくなったわしは、コタツに潜り込んでしまった。この話が放送されたのはクリスマスの時期で、コタツが余裕で出ていたのだ。
で、コタツから出てきたら、ウルトラマンが鎖につながれて宇宙に連行されるシーンだった。そのウルトラマンを見て次郎君が、「ウルトラマーン」と絶叫しているが、そんなことより天涯孤独になったてめぇの身を案じろ。
その後編でウルトラマンは初代ウルトラマンとセブンに助けられるが、両者の音楽がかかった時、どれほど心強く思ったことか。この感動はリアルタイムで見ていた者にしかわからないだろう。
ただ、いまだにビデオで見ても、なぜリベンジ編でブラックキング&ナックル星人があんなにあっさりやられてしまったのか、よくわからない。
※セブンのガッツ星人との話においても同様で、前編であれだけ強かったガッツ星人がなぜ後編で無抵抗のままやられてしまったのかも、何度ビデオで検証してもわからん。
それはともかく、本当にナックル星人は怖かった。特にナックル星人のイデタチが不気味であった。あの体の赤いイボイボになんとも言えない恐怖を感じたものである。
・後日談@
20年ほど前だったか、「白い巨塔」の再放送を見ていたら、ナックル星人を演じていた成瀬昌彦氏が登場するシーンがあった。成瀬氏が画面に出た瞬間、弟と、「あ、ナックル星人だ」と、興奮しながらハモってしまったことがある。
・後日談A
昔、フジテレビの番組を見ていたら、子供達に、「××星人と言ったら、何星人を思いつく?」という問いを出し、ボードに書かせるシーンがあった。わしは即座にナックル星人と答えたが…。
1人だけ感心にもバルタン星人と書いた子がいたものの、ほとんどの子供が「みかん星人」と書いていた。なんだ、そりゃ? 「みかん星人」とナックル星人じゃ、重みが全く違うだろうが。みかん星人などよう知らんが。
・後日談B
この話はまさにカミングアウトといえよう。今から16年前の12月、わしはお台場でデートをしていた。で、サテンから出たら夕日が輝いていた。そこで、「夕日といったらナックル星人を思い出す」と、トクトクと相手にナックル星人の話をした。それから数日後、お別れの言葉を食らったのであった。
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