子供心に、ウルトラマン、ウルトラセブンは気品にあふれているように見えたものである。また、登場する怪獣や星人も格好良く感じ、帰ってきたウルトラマンに登場する怪獣も見栄えがするのが多かった。
その証拠に当時の子供達は1枚5円の写真をこぞって買ったものだった。ただ、その写真は青緑色の封筒状のものに覆われており、それを破るまで中を確認できないという子供達にとってはクソはがいトラップがあったのだ。まあ、言ってみれば後のビニ本みたいな仕掛けである。
わしは子供の頃からそういうことに関しては引きが弱く、よく同じ写真に当たってメマイを起こしていた。やっとためた30円で6枚買って6枚とも手持ちの写真と同じやつが出て吐き倒れたこともある。
そういう時は駄菓子屋のばばぁに文句を言ったもんだが、駄菓子屋によって対応が全く違った。わしが通っていた小学校の近くにあった駄菓子屋のばあさんは良いばあさんで、わしが同じ写真に当たって落ち込んでいると、未開封の写真を1、2枚ただでくれるなんてこともよくあった。
ただ、それでもなお手持ちの写真と同じものが出るということもしばしばあったが…。そういうこともあって、そこのばあさんに食ってかかったことはほとんどなかった。
しかし、駅の向こう側の駄菓子屋のばばぁはロクでもない奴で愛想もクソもなく、おまけなどただの一度もしてくれなかった。にもかかわらず、そこへたまに行ったのは、学校のそばの駄菓子屋には置いていない美味しいお菓子があったからである。
昔の駄菓子屋にはお菓子に当たり券がついていたことが多く、当たりを引くとただでもう一つ食べられたりしたもんであったが、駅向こうの駄菓子屋で当たりを引いた記憶はない。おそらくばばぁが当たり券を全部抜いていたのだろう。
また、家から少し離れた商店街に年寄り夫婦でやっていた駄菓子屋があったが、そこは夫婦そろってしょうもねぇ奴らだった。結構イカサマが多く、わしら兄弟もよくダマされた。
本来ならそんなところに行きたくなどないが、小学校のそばの駄菓子屋がばあさんの体調不良で店を閉じてしまったので、駅向こうの駄菓子屋との不毛の選択の結果、万やむを得ずそこへ行っていたのだ。まあ、その店もわしが中学生の頃にはなくなってしまったが。
※小学校のすぐそばに割と大きな文房具屋があったが、そこのばばぁは、おつりをごまかしたりすることで悪評が立っていた。わしも、「50円の消しゴムをくれ」とそのばばぁに言ったら、30円の消しゴムをよこされたことがある。
しばらくそのことに気が付かなかったが、年端もいかない子供達にイカサマして、どうすんだ? おつりが足りなかったりして、あとで親に怒られる子供達の身になってみろ。以来、わしは2度とそこで買わないことにしたのであった。
わしが小学校に上がる頃は、ウルトラマンの写真よりもライダーカードの方が人気が出てきた。ある意味、ライダーカードは、ウルトラマンの写真シリーズが昇華したものといえよう。あっという間に仮面ライダーカードは爆発的な人気を持つようになったが、問題が2つ生じた。
まず、カードのギリが横行したことである。特に気の弱い奴のカードはよく盗まれていた。わしは悪童だったが、さすがにそれはせんかった。また、ライダースナックが大量に道端などに捨てられるということが地域の社会問題になった。
ライダーカードはライダースナックに付いてくるのだが、子供達はライダーカードだけがほしいのであり、ライダースナックなどどうでもよかったのだ。しかも、ライダースナックは妙に甘く、クソまずかったので、子供達は誰も食べなかったのである。
それで、封をしたままのライダースナックがあちこちで捨てられ、ライダースナックを売っていた店に苦情が殺到するという事態になった。このライダースナックを捨てるという行為は、余裕でやっていた。
こうしたことから製造元も反省したのだろう、後に発売されたプロ野球スナックの味は改良され、今のサッポロポテトと同じ塩気が効いたうまいものとなったのであった。
ところで、ライダーカードにはラッキーカードというのがあって、ラッキーカードを販売元に送るとカードを保存できるアルバムをくれたことをわしと同世代の人なら覚えておられよう。ただ、なかなかラッキーカードを引けなかったが。
それで、ある時、近所のガキが高田馬場にアルバムを売っている店があるというので、わざわざ馬場まで歩いて行ったことがあるが、そんな店があるわけはなかった。言うまでもなく、シャミを引いたそのガキを締め上げた。
当時、ウルトラマンの写真やライダーカードと同様に人気があったのが怪獣や怪人の人形であった。わしが最初に買った怪獣の人形は、忘れもせん、ゴモラであった。ゴモラの重厚な姿には、子供ながらも惚れ惚れとした記憶がある。ちなみに、ゴモラは旧約聖書に出てくる古代都市・ゴモラから命名されたものである。
当時はいろんな怪獣の人形を集めたものであるが、ゼットン、ブラックキング、ナックル星人はついぞ手に入らなかった。欲しくてたまらなかったのであるが…。実際にそれらは発売されていたのだろうか?
しかし、子供の頃あった3軒の駄菓子屋も、よく怪獣の人形を買っていたオモチャ屋も、今は一つもない。たまに思い出をかみしめにそれらの店があったところを訪れるが、本当に寂しい限りである。
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